まあ楽しいので


レンタル水着ですらコレってどうなんでしょう。
ティアは似合ってますよ、大丈夫です。
でも私はちょっと…
ああ、そうか。上に何か着ればいいのか。

「…なんでそうなった?」

露骨にがっかりした顔を向けてくるルーク。
ティアは恥ずかしそうに両腕で身体を隠しますが、それはともかく。


「なんでそうなった、って私の台詞ですよ。なんです、そのタオル」

「あはっ。ルーク、ユノにも言われてる〜」

「うっせえな!タオルがあったから巻いたんだよ!」


キレ気味に叫ぶルークですが、全く理屈が理解できません。
せめて肩からかけるとか…どうにかならなかったんでしょうか。
何故頭に巻いた。理解に苦しみます。
それに対して。

「ガイは似合ってるわね」

「似合いすぎててつまらんですね…」

水難救助のお兄さんの格好、とでも言えば良いのでしょうか。
良くも悪くも無難というか、ルークに比べると面白みに欠けますね。
似合ってる、が純粋な褒め言葉でないと察したガイは苦笑して、
戸惑いがちに礼を述べてきました。律儀な男です。

では、男性陣最後のひとり。
…できれば触れたくありませんが、致し方ありません。


「……えーと」

「た、大佐…似合ってます、とても…」


さすがのティアも実直に褒められず、視線を意味ありげに泳がせました。
バスローブ。
長い髪をゆるくまとめ、ゆったりとした布を纏った姿。
ここまでバスローブが似合う人間がおりましょうか。
ワイングラスがあれば完璧です。

なんだかなー。


「つーかさ、ユノ羽織ってるのでかすぎでしょ。男の子みたい…」

「そのままの入浴はマナー違反ではなくて?」

「…」


散々な言われ様ですが、脱ぐつもりはありません。
仕方ないですね。
水蒸気だけでも充分暑いですし、湯に入るのは足だけでもいいでしょう。
そもそもゆっくり入浴するってこと事態に馴染みがないので構いません。
正直どうでもいいです。


「じゃ、入るか!」

ルークの言葉で、各々が好きな場所へと散開しました。


*


「そういえばさ、ガイ。お前女苦手なのに水着姿とか見て大丈夫なのか?」

唐突すぎる台詞に、思わずジュースを吹き出しました。
傍らにいたミュウが不思議そうにこちらを見上げ、ガイへ視線を移します。
案の定噎せたらしい彼は、水面を叩いてルークを睨みつけました。


「お前なっ!姉上のことがあったから怖かっただけで、
 俺は女性が大好きだし水着姿はむしろ嬉しい!」

「堂々と言うことじゃないです」

「ですの」

「結託しないでくれ!」


膝の上に乗ったミュウの両耳を軽く握りながら言うと、
それこそ今にも泣きそうな顔での反論が来ます。
このネタでいじるのは少々不憫ですが、まあ楽しいのでいいでしょう。
本人も冗談で片付けられるようですし。


「嬉しい、ですか。じゃあ私の水着姿は何点ですか?」

「え?…82点?」「俺は41」「私は37で」

「真面目につけるな!」


冗談ですよ、これこそ!
近くで寝そべっているジェイドに至っては赤点並の数字です。
…まあ、仕方ない…でしょうね。足と頭以外の露出はありませんし。
いいですよ、別に!

「ユノさん、落ち込まないでですの。ボクは100点だと思うですの!」
「ミュウ…!」
「…お前らさ、ここ数日で何があったんだよ」

ひっしとミュウを抱きしめる私に、ルークの辛辣な言葉。
当然の如くスルーすると、流されたルークもまた慣れた様子で
他のことへ思考と飛ばします。…そして、頭上に現れるびっくりマーク。


「じゃあ、試してみるか」

「それはいいですね。行ってきてください」

「おうよ!」


ルークはガイの肩を掴んで引きずり、女性陣のいる浴槽へと連れていくと。
それは見事な足払いをかけ、彼をその中へと突き落としました。


「ぎゃあああああああ!!」

「ど、どこを触っていますのっ!?」

「や、やめろ!触るな!」

「触っているのはそちらですわ!」

「…ッ!!」


地獄絵図。
……ああ、係員さん。
フロントまで聞こえた?それは凄いですね。
私?私は違います、知らない人です。

説教でもなんでも、ご自由に。

私、関係ありませんから。本当ですよ!

prev next

戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -