無きにしも非ず


寄り道、続行中です。


ルークにまで語り部ジャックをされましたユノ・リーランドですこんにちは。
ここまでくると全員にやられそうですね。
由々しき事態です。
どうでもいいんですけどね。

とりあえず、寄り道続行中です。
グランコクマを発ってからもダアトへ向かうことは一向になく、
ルークやアニスの提案でやってきましたケテルブルク。

ものすごく気乗りしないんですけどね。


「うわわ…改めて見ると、…すっご…」

「まったくですわね…」


場所はケテルブルク、某高級ホテル。
ブウサギ探しの礼にとピオニー陛下に頂いたのは、
このホテルに新しくできたスパの会員券でした。…ああ、あと水着ですね。
趣味全開って感じです。
引くわー。

そして女子更衣室なのですが、一同の視線は一点に集中しています。
言うまでもないですかね。ティアの胸部です。
ありえん。何食ってるんですか、この子。


「も、もう!着替えられないでしょ…!」

「そうですよ。可哀想でしょう」

「ユノ…!」

「それで。触っていいですか、ティア」

「なんでそうなるのよ!」


ご利益ありそうですし。
…いえ、別に巨乳願望とかないですよ?邪魔ですしね。
銃や弓を扱う上で胸部に余計なものがあるのは不便この上ないんです。
太古では自らの乳房を切り落とした女戦士もいるのだとか。
だからただ、なんとなくです。


「や、大丈夫だって、ユノ。言われてるほど小さくないよ」

「…………誰が言ってるんですか?」

「闘技場の話ですの?確か、シングル戦の…」

「あのクソババア!」


瀕死にまで追い込んだのにまだほざきますか!

着替えどころではなく完全に雑談モードに入った私とアニス。
普段では気にしないのですが、水着に着替えるとなると、
合間に全裸が挟まれますからね。さすがにこの場ではちょっと。
…と、思っていたんですけど。


「うわっ!ナタリア、堂々としすぎだよ!?」

「え?だって他に誰もいないですし…知らぬ仲でもないでしょう」

「そういう問題じゃねっつーの!」


全く気に留めた様子もなく服を脱ぎ、淡々と着替えるナタリア。
大物ですね。羨ましくはないですけど。
アニスはナタリアをじっと見ながら自らの胸に手のひらを押し当て、溜息。
そして自分の着替えを手にとって、私の胸に触り、カーテンの中へ向かいます。

「ちょ、ちょ、ちょ。今なにしました?」
「え〜?」
「えー、じゃなくて」

突然というか自然すぎて声が出なかったんですけど。
振り返ったアニスの顔は、なんといいますか。鬱屈としていました。
確か彼女は未だ13歳?くらいでしたし、気にする必要はないと思うのですが。


「…あれ。そういえば、ティアは?」


話を逸らすな。
アニスが周囲を見渡しますが、ティアの姿はありません。
ナタリアは髪が上手くまとまらないようで鏡とにらみ合っていますし、
他の客はいません。アニスと揃って首を傾げると、ナタリアが振り返って。


「ティアでしたら、水着を借りにフロントへ行きましたわよ」

「水着?でも、陛下から…」


貰ったじゃないですか、と。言いかけて、やめました。
あの男のことです。
恐らくティアが着用するのを憚るような水着を手渡した可能性は無きにしも非ず。
…というより、かなり高いですよね。
ナタリアの水着も相当趣味が入っているようですし。


「そういえば、ユノの水着はどんなの?私は結構普通だったよ」

「私ですか?そうですね、まだ広げては…」


丸めていた状態の布をつまみ、広げます。
………あー。


「フロント行ってきます」

「…おう。行ってらっしゃい…」
「わたくしたちは先に行っておりますわ」


あの腐れ皇帝、次に会ったら絶対に殴ります。

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