これはちょっと、
マルクトも変人ばかりではないのですよ。
「こんにちは。ご苦労様です、リーランドさん」
ホールにて佇むのはアスラン・フリングス将軍。
私がグランコクマで会った中では屈指の常識人といいますか、
一番精神的苦労が多そうな人物です。
「サフィールとはうまくやれてますか?」
「え、ええ…まあ…」
相も変わらず後ろを付いてきています。
慣れました、と伝えると申し訳なさそうに苦笑いされました。
笑い事じゃないんですけどね。
「貴方も大変そうですね。警備ですか?」
「ええ」
将軍クラスになっても宮廷の警備ですか。
それとも将軍だからこそ、でしょうか?結構シビアですね、マルクト。
あの皇帝ですし、暗殺を企てる輩も少なくないでしょうし。
…若干一名の顔が脳裏に過ぎりましたが、無視しましょう。
また後ろに立たれては堪りませんから。
さて。
忙しそうな善人の時間を邪魔するのも気が引けるので、早々に立ち去りましょう。
爽やかに見送ってくれた将軍の幸薄そうな顔を置いて、
足元で忙しない動物のために食堂へ向かいます。
なんか平和ボケしそうで気持ち悪いですね。この環境。
これはちょっと、…どうでもよくないです。
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