応援します


「呆れた!あんな馬鹿、放っておけばいいのに!」

俺は降りる、ルークを迎えに行く。
そう言ったガイに、アニスは驚きと不服さを隠そうともしません。

ナタリアも声こそ出さないものの、内情は同じのようです。
ジェイドとイオンくんはさほど驚いていない様子ですね。
彼らは人の心理を探って行動する節がありますから、当然でしょうか。
そして。
恐らく一番驚いているのは、私の上司様でしょうね。

「馬鹿だから、俺がいないと不安なんだよ。
 それにあいつならきっと立ち直るって…俺は、信じてる」
「ガイ」

ようやっとナタリアが声を発しました。
嘆願するような目で、胸の前で手を合わせ。本物のルークは、から始めます。

「あなたはルークの従者で、親友ではありませんか。
 ルークは…本物のルークはここにいますのよ」

大真面目な顔でした。
私の内情を言いましょうか。「あー…」です。
彼女、本気で言っているんでしょうね。悪意の欠片もなく、本気で。
短い期間ではあるものの、個人的な話はしていないものの…
彼女と行動を共にして、分かったことがあります。

この子、"お飾り"です。あらゆる意味で。
勿論、私から彼女への悪意は一切ありません。客観的にそう思ったのです。

悪いこととは思いませんよ。
本物がわかる人間は、本物にこだわる価値観を持つべきですから。

結果。
言葉少なの中にも、ガイの決心が固いと判断したのでしょう。
ナタリアは口を噤み、アニスも噤み、アッシュが開きます。
ユリアシティと繋がる、境の場所を教えるために。

ガイは久々に、彼本来の笑みを浮かべてアッシュに礼を言いました。
そして私に向き直り、再び神妙な顔を形作ります。

「すまない、ユノ。俺には君の監視以上に大切な役目があったみたいだ」

構いませんよ、と言います。少しも心残りがありませんから。
そして彼へ、初めてと言えるほどの笑顔を作り。

「美しい愛情じゃありませんか。
 今のところ最大の敵はティア…いえ、ミュウでしょうか。
 頑張ってください。ここまで来たら私、貴方を応援しますから!」

ガンバッテ!両手でぐっとガッツポーズを取ると、
ジェイドとアニスがぶっと吹き出し、手のひらで口元を押さえました。
口を開けたまま、みるみる頬を紅潮させるガイ。
これこれ、と言いたくなります。最高の反応を、どうもありがとう。

だから、俺は女性が大好きなんだ!!
彼の叫びは、辛気臭い研究者の街に、異常なほど響き渡りました。

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