謝りません
思えば私、タルタロスでいっぱいマルクト兵殺してるんですよね。
どうも忘れ去られてるというか…私も忘れてたんですけど。
いいんですかね?
「いい訳がないでしょう」
ジェイドと共にアルビオールから降り、場所はグランコクマ。
ガイは一旦バチカルに戻るのだとか。まあ、当然ですよね。
「タルタロスで死んだ兵は数多い。
しかもその大半は貴女の仕業なのでしょう?」
「はあ…どうでしょう。いちいち数えてませんからねえ」
あの時は仕事でしたし。
兵士という個人よりも殲滅対象としか見てませんでしたからね。
でも。
「謝りませんよ。私」
「…ええ。それでいいんです。戦場とはそういうものですから」
じゃあ何故わざわざ掘り返してきたんでしょうか。
「貴女がタルタロス襲撃に携わっていたことは、私たちしか知りません。
王宮で迂闊なことを言えば、きっと殺されますよ」
「そんなのわかって……え?
なんかさっきから私も王宮に行くこと前提で話してませんか?」
立ち止まってジェイドを見上げた私に、微笑むジェイド。
絶対零度。温かさや柔らかさが微塵もない、氷の微笑みでした。
「ああほら、見てください。王宮に着きましたよ、ユノ」
優美な手つきで示された先には、成程確かに美しい王宮がありました。
じゃなくて。
私の話を聞いてくださいよ!
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