これ以上ない


失礼。
私としたことが、取り乱してしまいました。

神託の盾騎士団第二師団。
死神ディストが師団長を務めるこの職場は、戦闘向きではありません。
騎士団の中ではもっとも異質といえるでしょう。

科学技術とか、探査とか。
簡単に言えば裏方ですね。私は表も嫌いですが裏も嫌いです。
シンクは多分そのへんを理解した上で、私をここに配属したのでしょう。

参謀長官で、六神将とかいう師団長の一人。
発言力はばっちりです。ヴァン謡将とも付き合いが長いとの噂ですしね。
次見つけたら焼き鳥にしてさしあげましょう。

お近づきの証に改良してあげます、と長銃を奪われて10分が経過。
腹の底に疲労とむかつきを秘めながら廊下を歩いていると、
大柄なクマさんのような後姿を発見いたしました。

これ以上ない、八つ当たり相手です。

私は床を蹴り、そうそう見られない程全力でスタートを切りました。
そして一年に一回くらいは見られる全速力で、本気で、両足を揃えて跳躍します。

「ラ―――ルゴっ久しぶりぃいいいい――っ!!」
「〜〜〜〜〜!!??」

ええ。私もぎゃーですよ。
皆さん、私が何をすると予想なさってました?
過半数以上の方が、とび蹴りだと思っていませんでしたか?
違います。抱きつきました。首を絞める勢いで、思いっきり。

私は六神将の全員と面識がありますが、
ここまでのスキンシップをとるのは彼だけですね。

しかし好意ではありません。
嫌がらせです。叫ばせたかったんです。驚かせたかったんです。
大成功でした。

「離れろ、馬鹿娘!」

ぶおん、と視界が回ったかと思えば。
次の瞬間には吹っ飛んで、床に落下しておりました。

皆さん少々暴力的すぎやしませんか。

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