また会う日まで


ティアの身体を介して話していたのは、
第七音素集合体のローレライ、だそうです。

ルークとアッシュが第七音素の完全同位体だとか、
地核がどうとかうんたらかんたら。すいません聞いてなかったんです。
聞いてませんでしたが、要するにヴァンが全部悪いんですよね?

喋るだけ喋ったローレライは、ティアの身体を返却して退場します。
しかしその場にしゃがみこんだティアの顔色は悪く、体調は明らかに悪い。
ではベルケンドでお医者さんに診てもらおう!さあ飛べアルビオール!

で。
前回のあらすじ終了です。
というわけで空の旅を終え、現在位置はベルケンドになります。

「…じゃ、私はこのへんで失礼します」

街に足を踏み入れるなりそう言った私に、一同の丸い目が向けられます。
そんなに驚くことでもないと思うんですけどねぇ。
そもそも私、作戦どうなったかな?程度の気軽さで合流しましたし。
意外でもなんでもない。当然じゃないですか。

「で、でもユノ。貴女はヴァンに狙われているのではないんですの?」
「まあ、見つかったら殺されるでしょうね」
「だったら私たちと一緒にいたほうが…」
「嫌です。あなたたち、私と心中したいんですか?」

かなり本気で怒らせましたし、私に対しては本当に手加減しないでしょう。
それに正直なところ、彼らと一緒にいると目立つんですよね。
一人で、どこか…そうですね、それこそマルクトにでも。
一人で逃げて潜んだほうが、きっと見つかりにくいでしょう。

いずれは見つかるでしょうが、その時はその時です。
適当に逃げて、抵抗して。そして適当に、殺されるのも悪くありません。
…やっぱりヴァンに殺されるのは嫌ですね。訂正します。
とにかく。
今は彼らと一緒にいたくないというのが、本音です。

別にジェイドに言われたことが気になるとかでは決して無くて。

一緒にいる意味がない、というのが正しいのでしょうか。

「……本当に行ってしまうの?」
「今生の別れでもありませんよ。ティア、身体に気をつけて」

既に体調は崩れているようですから、
この言葉が正しいのかは分かりませんけれど。
他の面々も、名残惜しそうではありますが駄々をこねるほどでもないようです。
当然でしょうけどね。私、それほど親しくありませんから。

踵を返し、団体から離れます。
そして一歩、二歩のところで、「あ」と立ち止まり。
振り返って、一人をまっすぐに見据えます。
「ガイ」名を呼ばれた彼は、目を瞬いて首を傾げました。

「さっきはありがとう。助けてくれて、嬉しかったよ」

ではでは皆様。
また会う日まで、お元気で。

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