なんだか異常に


目標捕捉!
ディスト凄い、本当に良い仕事しましたね!
降下!

どかーん、と凄まじい音がしました。

タルタロスの甲板へほぼ垂直に落下したのですから、まあ当然でしょうが。
ばたばたと内部から出てくるルーク達。
彼らが先程の神託の盾顔負けな表情をします。顔負けだけに。
…ええ、自分で言うのもなんですがつまんないですね。
なんだか異常にテンションが高まってるんです、少しくらい許してください。

「ユノ」
「はい、なんで―…あ痛っ!」

殴られました。平手で。
ただ一人、驚くことなく私の元へ歩み寄ってきていたジェイドです。
頬を擦りながら顔を上げると、全力で侮蔑されていると感じる、
なんかもうただ謝りたくなるようなひどい視線とかち合いました。

「そこにあるものが見えますか?」
「ええ、見えます。譜陣ですね。移動用の」

二発目は頭頂部へのチョップでした。痛いです。
アッシュが公衆の面前で殴り続けたせいでしょうか、躊躇が全くありません。

「消えていないからよかったものの…
 もしあれが消えていたら、地核から脱出できないのですよ」
「マジですか」
「マジです」

念のため少し外れた場所に落下して正解でした。
譜陣は傷つくことも解れることもなく、甲板で淡く光を放っています。
もし壊していたら、殴られるだけでは済まなかったでしょう。
危ねぇ。

「ユノちゃん!無事だったんですね!」

硬直から解けたのか、イオンくんが駆け寄ってきました。
アニスがそれに続き、ぞろぞろと。私の無事を喜んでいます。

「まさか君が来てくれるなんて思わなかったよ」
「リグレット相手に、本当に時間稼ぎできるなんて凄いじゃん!」
「無事でよかった。心配してたのよ」

状況も忘れて、きゃあきゃあと喜ぶ一同。
その背後にある扉から、ノエルが決まり悪そうにこちらを見つめていました。

「…あの、これから地核へ向かいます。
 申し訳ないのですが…中へ入って、いただけますでしょうか?」

…気を遣わせてしまいました。本当に申し訳ありません。


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