暇ですから
ヴァンが戻ってきました。
リグレットを伴って、慌しく。緊迫した様子で、戻ってきました。
最後にルーク達を見送ってから数日後のことです。
…どうも嫌な空気です。それこそ戦争に赴く直前というか。
「!」
影から見ていた私に、ヴァンの冷え切った視線が向けられます。
気付かれましたか。まあ、隠れるつもりはあまりなかったのですけど。
彼らの前に姿を見せた私に、リグレットの瞳が軽く伏せられました。
「…帰ってきていたのか。ユノ」
「ええ。私は神託の盾ですから」
リグレットは、それ以上何も語らず。
ヴァンに目配せをして、その後ろへ下がっていきます。
「お前を殺すのはあまりに簡単だ」
「…そうでしょうね」
「見逃すのはこれで最後になる。…これ以上、邪魔立てするな」
ヴァンはそう言って、踵を返します。
リグレットを筆頭とした、彼の精鋭とも呼べる兵士たちを連れたまま。
えーと。
正直、大地の降下とか地核の停止とか、本気でどうでもいいんですけど。
邪魔するなって言われると、したくなりますよね。
私、ヴァンのことが大嫌いですし。
行き先はシェリダンとの宗が聞こえましたから、行ってみましょう。
折角ディストが直してくれたんです。
行きましょう。
ちょうど、暇ですからね。
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