低い順


場所は変わり、バチカル城。

ルークとナタリアはナタリアの自室、他の面々は地下牢にいるとの情報を、
城門前にいた神託の盾兵士から脅し…失礼、拝借した私達。

アッシュはやることがあるとかでファブレ邸へ向かってしまったので、
私が一人で地下牢に向かっています。
さすが王城、警備の兵士は相当な数ですが、こそこそする必要はありません。

堂々と殴り倒し、なぎ倒し。
地下牢に辿り着くまで、大した時間はかかりませんでした。

「来てあげましたよ愚民ども。感謝に慄きなさい」

格子を足蹴にし、少し調子に乗ってみました。
ちなみにこの牢に入っているのがガイであることは確認済みです。
ティアは可哀想ですし、ジェイドの場合は後が怖いですからね。

「ユノ!?」「なんでここに…」「いいから早く出してよ!!」

各々声を上げる一同。いい気分です。
しかし余裕があるわけではないので、危険度が低い順に開放してあげました。
右からティア、ガイ、アニス。
うむ。

「うむ、じゃありません。巫山戯るのも大概にしてください」
「はい、失礼しました」

プラスでジェイド。これで全員ですね。
しかし、彼に対して強気に出れないのは何故なのでしょうか。

「私のツンデレ上司の意向です。ここからは全面的に協力しますよ」
「ユノ…ありがとう」

安堵に満ちた、嬉しそうな表情のティア。
彼女に会うのは久しぶりですが、少し雰囲気が変わったような気がします。

いえ、興味がないことに変わりはありませんが。

「王族ふたりはナタリア姫の自室です。行きましょう」

皮肉を込めた私の台詞に、一同は複雑な面立ちで頷きました。

少し不謹慎でしたかね。
どうでもいいことですけれど。

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