仕事だというのなら
私が闘技場を混乱に陥れ、数日が経過しました。
賞金も賞品も随分気前が良かったバチカル闘技場。
それまでより少しだけ良いものが食べられます。喜ばしいですね。
そして、現在。
港からやって来ましたよ、教団関係者。
今すぐここから頭部を吹っ飛ばしてやりたいですが、我慢です。
以前の私以上に激務に追われているだろうこの鳩に、
やっと身のある仕事を任せられますね。
拝啓上司様。
豚と馬鹿とラルゴが入港です。
*
「報告もまともにできないのか、お前は」
その翌日バチカルにやってきた上司の第一声は、それでした。
失敬ですね。湾曲して原点に帰ってくる、分かりやすい文面だと思っていましたが。
「神託の盾には馬鹿が多すぎる。搾りきれん」
「あー…」
なるほど。納得です。
ちなみに上記の馬鹿はディストのことですよ。
そう説明すると、アッシュは鬱陶しそうにわかっていると答え、
身を引いて城を見据えました。
「もうじき、レプリカどもがバチカルに連行されてくる」
「レプリカども?…あぁ、はい」
呼称が若干変わってますね。一瞬分かりませんでした。
「ナタリアに偽姫疑惑がかかっている。…ここは奴らの処刑場となるだろう」
「は?」
「アクゼリュス崩壊の首謀者としてな。当然だろう」
「え、いや。待て待て待て。待ちましょう」
偽姫疑惑?彼女に?
崩壊の首謀者として処刑、のほうにはたいして驚きませんが。
それが事実か濡れ衣かはともかく、彼女を追い込んだ奴は一匹しかいませんね。
「賢い豚ですね。つくづく感心します」
「同感だ」
頷くアッシュ。
わざわざここに来たのです、ナタリアを助けるつもりなのでしょう。
そしてその傍らにいる、ルークも。
正直彼らが死んでも生きてもどうでもいいのですが、
仕事だというのなら仕方ありません。
頑張ってやろうではありませんか。
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