閑話休題


「突如参戦のリーランド選手!第二試合突破ーッ!!」

騒々しいアナウンスを背に、力尽きた蟹へ杖を突き立てます。
ふむ。思っていたより大分弱いですね。
第一試合のおっさんなんて、譜術を一撃ぶち込んだだけで土下座しましたよ。

次が最終試合らしいですが、どうも物足りないというか。
初級コースだから仕方ないのでしょうか。

開いた相手側の格子を見やると、
コロシアムクイーンと名乗った、一人の女が立っていました。
人間ですか。なんか残念です。

「あんた、やるわねえ」

しかも話しかけて来ました。ますます残念です。
随分と悪趣味な服装の彼女ですが、見ればなかなかの美人です。
系統で言えばノワールでしょうか。
しかし上半身のとある一点が非常に不快です。もの凄く不快です。
なんです、あれ。何詰まってるんです、あれ。

「ちっっっちゃいくせに」

嘲笑の声と共に、鼻を鳴らされました。
鎮まる会場内。アナウンスも黙ります。
そして、ぶちぃ、と。私の脳の血管が切れる音がします。
このクソ女。今、なんてのたまいやがった。

「……くない」
「は?」

俯き、搾り出した私の声に首を傾げるババア。
そういえば、披露できなかった譜術があります。覚えておいででしょうか。
人間相手にやるべき術ではありませんが、この際いいでしょう。

しかし皆様、覚えておいてください。
ちっちゃくないです、本当です。ティアと比べないでください。
一般的に。皆様の、良識的な感性で判断して。
小さくなんかないです!

「流動の水よ!その力を思い知れ!」

第四音素の最大収縮。
観客の体内音素まで吸う勢いでのそれに、ババアの笑顔が引きつります。
初級コースとはいえ、ボスをやるんです。
死なないですよね?多分。

「アクエリアス・スフィア!!」

ババアから中心点を若干ずらし、来襲する圧倒的な水圧。
私の今できる最大譜術です。
もっと連携できそうな気がしないでもないですが、今はこれが最大です。

地に伏し、完全に意識を失ったクイーン(笑)を見て、
続きを少しがんばってみようかなあと、らしくもないことを思いました。

ここまでが、閑話休題。
次から本題に入りますよ。

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