SS部屋 | ナノ
静帝能力持ちパロU※

2011/01/12 07:25

「…?」
「あれ、起きちゃった?」
「いざ…ッ」
──まさか、また僕を殺しにきたのか!
 警戒した目で睨み付けていれば、臨也は手をひらひらと振る。
「ああ、そんな目をしないでよ。殺しにきた訳じゃないんだから」
 帝人が肩から少しだけ力を抜けば、臨也は口元を緩めながら新たに言葉を紡ぐ。
「そう、昔みたいにさ」
「え…?」
 一瞬、言葉が理解出来なかった。臨也はそのまま口を動かし続ける。
「俺さ、君のことずっと見てきたんだ。これまでの人生をずっとね。でも今回は残念だったな。君と出会うのが遅すぎた。能力の継続は二十歳以内に死なないとできないんだよね。しかも君の近くで」
「一体どういう──…」
「つまり、俺も前世の記憶を受け継いでるってことだよ、若き王様。いや、元王か」
「…っ」
 臨也が言うには、静雄が尋常ならざる力を持っているのは帝人を臨也が殺したのを目撃してしまい、臨也と同士討ちになって死んでしまったかららしい。その時の二人の年齢は19だった。
「まあ他人に能力を生み出させるのは王だった頃の君だけなようだから、俺とシズちゃん以外に変わった力を持つ者はいない。よかったね」
「……」
 臨也の言葉に帝人は呆然とすることしか出来ない。自分のせいで大切な人が人外ならざるものになってしまったのだ。
「まあシズちゃんも二十歳過ぎたから来世にあの力を持ち越すことはないよ」
「そう、ですか…」
 その科白に少しホッとする。静雄は暴力が嫌いだ。そんな彼にいつまでもあの力を背負って生きろというのも酷なモノだろう。だが、今世でもこうして力を持っているということは、今までの人生でもあの強大な力を持っていたということになるのだろうか。帝人は顔から血の気を抜けさせた。
「ま、俺が言いたかったのはそれだけ。池袋にきてもすぐにシズちゃんに見つかっちゃうから君とまともに話が出来なかったんだ。もしかしてシズちゃんも少しは過去の記憶を引き継いでるのかもね。やたらと君を護りたがる」
「ぁ…っ」
―─静雄さんは兵士だった頃の記憶が微かにあるから、僕に構ってくれたのかな…。
 そう思えば、少し寂しくなった。
 臨也が去り、部屋は静寂に包まれる。
「僕の所為…か」
 ボツリと呟いた声は部屋にこだますることなく消えた。


「…ん、よう」
「静雄、さん…」
 なんだか目を合わせづらくて顔を下へと向ける。静雄は気づかないでいつの間にか習慣となった帝人の頭を撫でる。
「帝人…?」
「あの、静雄さん。静雄さんはその力が嫌いですか?」
「…決まってんだろ」
「…ですよね」
「?」
「じゃあ僕はこれで…」
「ああ」
 静雄はこれから仕事らしく、待ってくれていた上司の元へと走っていく。帝人は泣きそうになるのは堪え、ボロアパートまで走った。
 それから、帝人は静雄を避けるようになった。静雄を見れば、自分の所為でこれまで苦しめてきたのだと自己嫌悪に走ってしまう。静雄のためじゃなく、自分のためだ。
 見掛けても視界に入らないよう避けていたのだが、静雄もそれを感じ取ったようで、アパートに待ち伏せしていた静雄に問い詰められる。
「竜ヶ峰、なんで俺を避ける」
「別に、避けてなんか…」
「避けてんだろ」
 肩を掴まれ、帝人は息を詰まらせる。鍵を開けるよう促され、手を震わせながら鍵穴にそれを入れる。
──…静雄さん、怒ってる。
 いつもは加減してくれるのに今日はそれがない。部屋に入ると正座をさせられた。
「…で、なんでだ?俺がお前に嫌なことをしたっていうなら正直に言え。謝る」
「違います…静雄さんは悪くありません」
「じゃあ、」
「…静雄さんのその力は僕の所為なんです」
「…は?」
「静雄さんがこれまで苦しんだのも、全部僕が…」
「待て!何の話だ?」
 信じてもらえないのを承知で一から話す。帝人が王だったということ。能力のこと。
「…あー、俺は兵士で臨也が大臣。で、臨也がお前を殺したところを俺が見て相討ちになって二人共死んで。そんときに能力が身についちまったと」
「はい…」
「…あー、」
 苦笑を浮かべる静雄に、帝人は顔を俯かせる。
──そう、だよね。いくらなんでも信じろなんて無茶だ。
 冗談だと言おうとした唇は静雄の科白に止まる。
「俺、馬鹿だから何て言ったらいいかわかんねえけど、別にお前のことを恨んだりしねえよ」
「…信じてくれるんですか?」
「嘘なのか?」
「い、いえ」
 頭を優しく撫でられる感触に、帝人は目をそっと閉じた。するとその直後に暖かい何かに唇を塞がれる。それは一瞬で離れたが、帝人の大きな双眸は見開かれたままだ。
「なら俺はこの力を大切に使わなきゃならねえんだな」
「え…?」
「今度こそお前を護れるようにって、神様からの贈り物なのかもしらねえからな」
 照れ臭そうに笑う静雄に、帝人は顔を真っ赤に染める。
「俺さ、竜ヶ峰のことが初めて見た時から好きだった。初めて会うのに昔から知ってるみてえな感じがしてよ。男同士なのにごめんな?」
 帝人はふるふると首を横に振り、静雄の胸に抱き着く。
──キスされても全然気持ち悪くなかった!さっきだって、もしかして嫌われるんじゃないかって怖かった!
「…僕だって、静雄さんのこと大好きですもん」
「…ははっ、そうか」
 再度静雄の顔が近づく。軽く唇を合わされ、啄むようなキスをする。力が抜けてぐったりとした帝人の背中を撫でながら耳元で囁いた。
「…なあ、帝人って呼んでいいか?」
「…はい」
 ぎゅっと力を篭めれば、その上に手を重ねられる。
「なあ、帝人」
「はい」
「してもいいか?」
「…は?」
 聞き返してしまったことを許してほしい。寧ろ聞かなかったことにしなかったのを褒めてほしいくらいだ。
「だから、セッ「言わないでください」
 顔を真っ赤にして首を横に勢いよく振る。バランスを崩し、静雄に引っ張られ腕の中に閉じ込められる。硬いものが当たり、帝人は思わず目を逸らす。
「だめか…?」
「ぁ、う…」
「帝人…」
「だっダメです!」
「絶対に?」
「絶対に!」
 5分間の睨めっこ。負けたのは帝人だった。
「悪いな…、帝人とキスしたらムラムラしちまって」
「ゴム持ってますか?」
「あーいや、持ってない」
「それなのにやろうと思ったんですか。言っときますけど僕の部屋にシャワーはありませんから」
「…ッ今からゴム買ってくる」
「…僕だってそれくらい持ってます」
「!?」
──最近の若い奴は風紀が乱れてるっつーけどまさか帝人まで…!
 どこか絶望混じりの表情をする静雄に、帝人は手を振る。
「言っときますけど、使ったことないですからね。正臣に押し付けられただけです」
「あ、ああ…そうか」
 安心したように息を吐く静雄に、帝人は深い溜息が出た。押し入れにしまってあったゴムの入った箱を取り出す。
「これでいいですか?」
「おお…」
 今すぐにでもイきそうだという静雄に、帝人は早くゴムを装着させておいた方がいいだろうと判断したのだが。
「ぁ」
「えっ」
 見づらくてよそ見をしていたのだが、静雄が小さく声を上げたのでそちらを見ると、静雄の規格外なそれに耐え切れず破れたゴムが見える。帝人の何倍も大きなそれに、なんだか悔しくなる。
「…そんなのを僕に挿れようとしてたんですか」
「わりぃ…。このサイズのしかないのか?」
「僕のは静雄さんみたいに大きくありませんから」
 はち切れんばかりに膨張したそれに、帝人は目を背ける。静雄はじいっと帝人を見つめている。
「…なんですか」
「今日挿れるのは…」
「ダメです。また今度です」
「一人で抜けってことか?」
「…触るくらいならいいですけど」
「じゃあそれでいい」
 ティッシュ箱を用意し、隣に置く。静雄のそれに触れると、びくっと肩が跳ねるのがわかる。片手では足りない、両手を使って自慰のときを思い出して快感を感じるところを擦る。
「ッ…帝人」
「はい?」
「その、あのな、舐めてほしいっつったら怒るか?」
「…えと、それは」
 ちらりと静雄を見上げれば、顔を真っ赤にさせながら帝人をじっと見つめている。意を決して舌をちろりと這わせれば、苦味が口に広がる。
「ぅえ…」
「が…頑張ったら後で焼鳥買ってやる」
「僕がそんな食べ物に釣られると思ってるんですか!…まあ、頑張りますけど」
 亀頭をぱくっと口に含む。苦味を我慢してちろちろと舌を動かせば、静雄は熱い息を吐いて帝人の頭を撫でる。
「ン…上手いな」
「まあ、やったことありますし」
 しれっとしながら言えば、静雄のを銜えていた顔を無理矢理持ち上げられる。
「誰とだ?」
「はい?」
「誰とやった」
「あの、やったといっても二つ前の人生の僕ですよ」
「それでもムカつくモンはムカつく」
「え、ちょっ」
 簡単に押し倒され、帝人はやばいと背筋に冷や汗を流す。つい口走ってしまった言葉に後悔ばかり溢れる。
 ベルトのバックルに手をかけられ、早々と下着まで脱がされた。じたばたと足をばたつかせるが、全くといっていいほど意味を成さない。
「今日、は、だめって言ったじゃないですかッ」
「忘れた」
「馬鹿ですか貴方!」
 自身に長くて骨張った指が這う。嫌にでも感じてしまう快感に、頭がフリーズしそうになる。
「帝人、気持ちいいか?」
「ゃ…っ、ああっ」
「帝人、答えろ」
「はひっ、いい…ですっ!あっんやらっ」
 少し零れた帝人の精液を指に絡ませ、ナカへと挿入する。潤いのないそこは、容易に挿入を許さない。
 静雄は一旦指を抜くと、今度は己の自身の精液を使ってもう一度挿入を試みる。
「痛…ッ痛い…ですっ」
「我慢してればすぐに気持ち良くなるって知ってんだろ」
 指を奥へ奥へ、広げるように動かし、指の数を増やす。傷つけないようにゆっくりと指を馴染ませる。快感を感じるポイントを掴み、何度かそこを刺激すると、帝人の身体はびくびくと魚のように跳ねた。
「ひゃ…しずおさん…」
「もう挿れていいよな?」
「だめ、です…おふろ…」
「終わったらおんぶして俺んちまで運ぶから安心しろ」
 まだ反論を続けようとする帝人の意志を無視し、今にも精を吐き出しそうな自身で一気に貫く。何度かゆるゆると動き、帝人の息が落ち着くのを待つ。「はふ」と息を吐き落ち着いたところで帝人の腕を背中に回させる。
「背中引っ掻いてもいいし、肩を噛んでもいいからな」
「はひ…」
 理性が半分飛んでいるのか、帝人の目はどこか虚ろだ。静雄の言葉はどうにか聞き取れたようで、ぎゅっと腕に力をいれる。それを合図に腰を激しく動かす。
「あっあっ待…っ激し…ッ」
「やべえ、いい」
 恋愛感情が大いに混ざっているからだろうか、金を払って女と身体を重ねるよりよっぽど気持ちがいい。
 ティッシュを片手に帝人のそれを上下に扱けば、連動してナカがきゅうと絞まる。搾り出されるような感覚に、静雄は今まで我慢していた熱を帝人のナカへと吐き出した。帝人の吐き出した熱はティッシュに染み込む。静雄の長い射精に、帝人はそれすらも感じるのか、「あうぅ…」と情けない声を出すことしかできない。
 出し終えたところで、帝人のナカへ挿入したまま立ち上がる。
「えっ静雄さ」
「出したやつ、トイレで一回抜く。腹壊したら大変だからな。身体は俺んちで洗え」
 これ以上不埒な行いをするわけではないとわかり、帝人は静雄にしがみつく。
 ナカへと再度指を挿れられ、そういう目的でないと思っても、先程感じた快感が染み付けられている。水音が止むと、静雄は水を流す。生臭いニオイが篭るので、窓を開けておいた。


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