SS部屋 | ナノ
静帝

2010/12/14 15:43

 牛乳が切れていることに気付き、家を出たのが20分前。
 ついでにパンを買い、コンビニを出たのが8分前。
「みーかーどー」
 そして、今目の前には酒臭を纏った恋人が立っている。
「…静雄さん、何やってんですか」
 いつもクールで短気な静雄は、めずらしく陽気な声で帝人を抱きしめる。
「酒飲んだらな、帝人に会いたくなったんだ!」
「もう…。取り敢えず家に入りましょう。外は冷えます」
「帝人ー、こんなとこに住んでたら危険だぞ?俺と一緒に暮らそう、な?」
「何言ってんですか」
 どうせ、素面に戻ればこの会話をすぐに忘れている。それはいつものことなので、帝人はその姿勢で会話を進める。
「帝人は可愛いなあ」
「いい加減にしてください」
「だって可愛いもんは可愛いんだよ」
 頬を擦り寄せてくる静雄に苦笑しつつ、満更でもない表情を浮かべる。
 鍵を開け、静雄を座らせるとコップに水道水を入れて渡す。静雄は無言でそれを飲んだ。
「ただの水でも帝人が入れてくれるだけで美味く感じるな!」
「気のせいです」
 さっさと寝てもらおうと布団を引く。ぽんぽんと布団を叩けば、静雄は大人しくそこに座る。
「なんだ?」
「寝ましょう。明日になれば元に戻ります」
 言うことを聞いてくれるかと思ったが、静雄はむう、と眉間に皺を寄せる。
「いやだ、まだ帝人といちゃいちゃしたい」
「大人しく寝てくれたら頭撫でてあげます」
「わかった、寝る」
 ベストを脱ぎ捨て、布団に横たわる静雄にクスクスと笑いつつ、言った通りに頭を撫でる。
 染めているからか少し傷んでしまった金色の髪に指を通す。枕の隣に正座しながらやっていれば、静雄は子供ように擦り寄る。
「帝人の…匂い…好きだ」
「僕も静雄さんの匂い好きですよ」
 すう、と眠ってしまった静雄に、帝人も欠伸を一つ吐く。パジャマの上に着ていたパーカーを脱ぎ、静雄の隣に入る。
 静雄の体温で温もったそこに心地良くなり、抱き込まれるようにして寝入った。


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