温泉静帝その七
2010/11/19 06:40
温泉のやつの続きを書けよと言われたので…
その六で静帝が静雄になってるのはミスです。さっき気づきました
[奈倉様:替え歌の件ですが、マグネットはぶっちゃけ友達が叫びながら(?)歌ってるのしか聞いたことがないので、パソコンをいじれたら聞いてみようと思います]
背もたれのない椅子に座り、前を見れば静雄と臨也はちらりと帝人の方を見、また互いを睨み付ける。
「俺が先攻でいいよな」
「まあいいよ。勝つのは決まってるしね」
不敵な笑みを浮かべると、静雄のこめかみに血管が浮かぶ。一触即発とはこのことだと帝人は心の底から思った。
勝負の結果は静雄のボロ勝ちだった。臨也の眉目秀麗な顔にはいくつもの球の跡がついている。全て静雄につけられたものだ。静雄は謀ってか跳ねた球を全て臨也の顔面に向かうよう打ち込んだ。ある意味凄いと帝人は感心する。
「流石ですね、静雄さん!」
「おう、当然だ。っつーことで帰れノミ蟲」
「ハッ、池袋に戻ったら帝人君に悪戯しまくってやるからね!」
「ちょっ、なんで僕なんですか」
少し涙目になりながら臨也は走り去って行った。静雄は「大丈夫だ、俺が護ってやる」と言う。帝人はその言葉に小さく微笑み、静雄の腕に抱き着いた。
臨也は新宿に戻ったらしく、姿を見ることはなかった。顔の腫れは一体どうなったのかとほんのり考えてみたりした。
幸せな時間はすぐに過ぎて行くもので、気付けばもう土曜日の晩だった。明日には池袋に帰るんだと思えば淋しくなる。
──もう会えなくなるって訳じゃないけど。
溜息を吐けば、風呂から上がった静雄が帝人の風呂上がりでまともに拭かなかったせいで湿気た髪を撫でる。
「明日帰るんだな…」
「はい…」
帝人の隣に腰掛けた静雄にもたれ掛かりながら息を吐く。静雄はぽんぽんと肩を叩く。
「静雄さんとまた違うところで暮らすんだと思うと、なんだか寂しいです」
「…なら、一緒に暮らすか?」
「え?」
「だってよ、それならずっと一緒にいれるだろ?いや、ずっとは無理だが。帝人が嫌なら別にいいが」
「いえ!一緒に暮らしたいです!静雄さん、お願いします!」
ガシッと掌を掴んだ帝人に、静雄は優しく微笑みながら額に口づける。
「…今日言ってよかった。ずっと考えてたんだが、帝人を拘束したくないしな」
「静雄さんと一緒にいられるのなら僕はなんだって…!」
「ああ、俺だってなんだって我慢できるよ」
暖かい身体を抱きしめながら耳元で囁く。
「…帝人、してもいいか?」
静雄は一日目以降帝人を抱くことはしなかった。静雄なりな遠慮していたのだろう。
帝人は微笑み、「勿論です」と静雄の背中に腕を回した。
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