SS部屋 | ナノ
ちみロボミカドくんU

2010/11/14 15:19

「…シズちゃん」
「んだよ、とっとと帰れ」
「それマジ欲しいんだけど」
「やる訳ねえだろ」
「ごきぶり復活!」
「ほら、ミカドも手前のこと人間だと思ってねえんだよ」
「へえ、ミカド君っていうんだ!かわいいね」
「きゅ…」
 臨也の射止めるような目線に、ミカドはびくりとして静雄に抱っこを求める。だが静雄の両手はクレープにて塞がっており、ミカドは静雄の身体をよじ登った。
「なにそれ可愛い!」
「ミカドが怖がってんだからやめろ」
 ミカドは静雄の背中にぶら下がりながらぷるぷるとしている。
「照れてるだけなんだよね?」
 ミカドは最終手段だと言わんばかりに大きな耳で己の顔を覆った。臨也はそれを見てきょとんとする。
「どうしたのかな?」
「だから怖がってるっつってんだろうが」
「普通、俺とシズちゃん逆じゃない?大体シズちゃんが怖がられるパターンでしょ」
「ミカドは外見じゃなくて中身を見るんだよ」
 溶けかけのクレープをミカドに持ってもらおうと近づければ、ミカドはそれに気づいてパクっと噛み付く。反射的な反応だったのか、口に広がる甘い味に、ミカドはハッとする。
「ごめんなさいっ」
「あー、気にすんな。食っていいからしっかり掴まってろよ」
 ミカドがクレープを一つ食べたことで片手が開いた。静雄はその手で近くにあった標識を引き抜く。臨也は嫌な予感がしたのか、静雄から一歩離れる。
「覚悟はできてるよなあ。いーざーやーくーん」
「チッ。またね、ミカド君」
「待て!二度とミカドには近づけないように今此処で仕留めてやる!」
 投げた標識を悠々と避けると、臨也はミカドに向かって手を振った。静雄は舌打ちしながら標識を抜いた際陥没した床を蹴り、息を吐く。
 投げた拍子に少しクリームが垂れてしまったクレープに、まあいいかにかぶりついた。
「トムさんの分…まあ頼まれた訳じゃねえからいいか」
 ぱくぱくっと食べ、指についたクリームを舐める。背中から前に回ってきたミカドにどうしたのかと思えば、また口の周りにクリームがついてる。
「…なんだ」
「とってください!」
 それは舐めろということかと顔を引き攣らせる。静雄は溜息を吐くと、たまたま入っていたポケットティッシュで口の周りを拭う。
「むにゅ、きれいになりましたか?」
「おー、イケメンになったぞ」
「本当ですか?!」
 冗談だったのだが、ミカドは目を爛々と輝かせる。罪悪感のようなものが沸き上がったが、なんで俺がそんなもの感じなきゃいけないんだ、と首を横に振った。
「トムさん!」
「あ?」
 ミカドが耳を指した先にはトムが歩いていた。おそらく静雄とミカドを探しているのだろう。


終わりです←
続きはないよ!


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