立場逆転静帝の
2010/09/30 21:25
桃色の桜が散る、四月。
初めて彼の姿を見た時、帝人は果てしない喜びに包まれた。新羅に紹介したい奴がいると言われた時は面倒臭がったりしたものの、やはり来てよかったと、その時は本当に思っていたのだ。
一つの人間の身体によって多数の身体が吹き飛ぶ。その強大過ぎる力は芸術的なもので、帝人はまるで幼い子供が新しい玩具を与えられたときのように目を輝かせる。
人工的な金色の髪を持つ男は、向かってきていた敵が片付いたところで帝人達に気づいたのか、まず顔見知りである新羅に目を向けた後、見知らぬ顔である帝人を見た。
新羅がいつものように一見爽やかな笑みを浮かべると、帝人の紹介を始める。話し掛ける新羅に一度も目を合わせることなく、帝人を見つめ続ける静雄に首を傾げながら、帝人は新羅に続くように自らの名を名乗る。
「初めまして、竜ヶ峰帝人です」
「帝人は俺の中学の時の友達。良い奴だから、静雄とも気が合うと思うよ。……静雄?」
静雄は瞬きもせず、ただじっと帝人を見つめる。いい加減、帝人も怖くなってきたのか、浮かべていた笑みを消す。一歩静雄が近付けば、帝人も一歩後ろへ下がる。
いくらなんでも無表情で近付いて来られたら誰だって恐怖心を抱くものだ。
「あの、静雄さん?」
帝人が静雄の名を呼べば、静雄の目はまるで獲物を見つけた肉食獣のように鋭くなる。全身に鳥肌が立ち、気付けば逃げ出していた。
逃げてどうするのかと気付き、立ち止まろうとしたのだが、ちらと後ろを振り向けば自分を追い掛ける姿があり、帝人は身体を震わせながらそのまま脚を動かした。
――なんで、僕何かした?!
初対面の相手に何かをやらかしたということも考えられず、帝人は逃げることに専念した。だが、元々体力のない帝人は、あっという間に距離を縮められ、腕を掴まれる。
「…ッ痛」
骨が抜けた感覚に、脱臼したことを頭の片隅で考える。静雄は帝人の肩を押して骨を戻し、再度帝人の腕を掴もうとする前に帝人は走り出す。
――なにアイツ、本当に人間なのか?
出会いのを書こうとしたけど気に入らなくてやめた
もったいないので此処に置いときます
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