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温泉静帝その一

2010/11/05 07:27

途中で心が折れたら書かなくなるかもしれない←
いや、友達と話してたらたぎって仕方がなかったんだ
続いたらその二かその三に裏入んぜうへへ


「…え?」
「長期休暇もらったんだ。長期っつっても一週間位だけどな。確か帝人の学校は暫く休みだっただろ?」
「は、はい」
「だからよ、よかったらお前とどっか泊まりで旅行行きてえなって」
 静雄はもじもじしながら言葉を紡ぐ。帝人は大きな目をきらきらと輝かせた。
 今まで静雄と泊まるといっても静雄の不定期な仕事上、お互いの家でしかなかった。しかも、静雄は朝早くに出ることが多く、帝人が朝起きたら一人という寂しいことが度々あった。
 静雄は鞄から色々な資料を取り出す。
「俺なりに色々調べてみたんだ。どれがいいか選んでくれ」
 海外からテーマパークまで様々だ。帝人は値段重視でかつ互いが落ち着けるようなものを探した。
「…あ、温泉とかどうでしょうか?」
 帝人の目に入ったのは温泉の資料だ。だが、そこには三泊四日までの値段しか表記しておらず、むぅ、と不満混じり声を出す。
 静雄は苦笑しながら、帝人の頭を撫でた。
「温泉ならトムさんに聞いといてやる。あの人、秘湯とか好きだからな」
「お願いします」
 頭を下げる帝人に、他人行儀過ぎると顎を掴んで上へあげさせる。キスをしてもおかしくない距離に、帝人の心臓は跳ね上がる。だが静雄の手は帝人の頬を撫でるとすぐに離れていった。
「いいとこ探してくるからな。楽しみしてろよ?」
「は、はい!」
 帝人が元気な返事をすれば、静雄は柔らかく笑い、唇を帝人のそれに押し当てる。
「…ッ」
「行ったら、これ以上のことするからな。それも覚悟しとけ」
「は…はい」
 真っ赤になった帝人に「可愛い」と零し、静雄は仕事に戻っていった。
 その日の晩、早速静雄から連絡がきた。静雄も珍しくはしゃいでいるようで、声色が嬉々としている。既に予約はしてくれたらしく、帝人は旅館の値段を聞いた。値段によっては今まで貯めてきた両親からの仕送りに手をつけようかと思っている。
『いや、気にするな。それは俺が出す』
「え?いや、流石にそれは…」
『俺がお前と行きたいだけだからいいんだよ。殆ど帝人のスケジュールも無視して決めちまったしよ』
「でも、」
『頼むよ。そのために標識とか自販機を投げるの我慢したんだぞ?あのノミ蟲野郎が出てもだ。…まあ殴り掛かったがな』
 思い出し怒りをしそうな静雄に、話題を戻そうと、帝人は肯定する道を選んだ。
「…じゃあお願いします」
『ああ!明日詳しく教えるから』
「はい、待ってますね」
 行くのは次の月曜日から日曜日まで。山奥にあるらしく、混むどころか、もしかしたら泊まるのは自分達だけかも知れない、とのことだ。
 パソコンで調べてみたが地図の他に詳しい情報は出てこず、正に知る人ぞ知る旅館らしい。
「田中さんはこんな所、よく知ってたなあ」
 ミネラルウォーターを一口口に含み、明日のために荷造りを始めた。
「楽しみ、だなあ…」
 ぼそりと呟き、横にごろんと寝転がる。
 明日のこの時間は静雄と共にいるのかと思えば、口元がにやけるのが抑え切れなかった。


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コメント
2010/11/05 17:37 通りすがりの遊び人
心が折れても続き書いてつかあさい
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2010/11/05 08:56 ゆな
温泉静帝続き読みたいです!
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