静学、静帝
2010/10/18 17:40
「…本当、どうしてですか」
「…わりぃ」
ぐすぐすと泣いている少年は同じ顔をした少年の胸に顔を埋める。
同じ容姿をしているのだが、泣いている少年の方が少し幼い。
正座をしながら反省している金髪の青年は、ちらりと泣き続ける少年を見る。
「学人…」
「ひっく…、静雄なんか嫌い、近付かないで…」
「う…」
嫌悪の含んだ目で見られ、静雄は動きを止める。
学人こと学園天国は静雄の恋人である竜ヶ峰帝人のコピーのようなものだ。
見た目こそ同じだが、中身は多少異なっている。
帝人が幼い見た目と反して礼儀正しく大人びているなら、学人は見た目通り子供っぽいといった感じだ。
静雄にも津軽というコピーがいるのだが、今は帝人と静雄と学人しかいない。
「大体、どうして僕と学人を間違えるんですか。そしてどうしてヤっちゃったんですか。ていうか途中で気付いてください、いくらなんでも怒りますよ」
「なんかいつもと違うとは思ったけど、ちょっと酒飲んで酔ってたし…。つーかなんで学人が帝人の服着てんだよ」
「学人が暑さで死にそうだったからです。いつまでも長袖って可哀相じゃないですか」
「いい加減学人も泣き止んで」と頭を優しく撫でる。
すると学人は涙を止めたが、泣きそうな声で帝人を見上げる。
「音楽データ消えちゃった…」
「え？家戻るまで我慢できる？今パソコン無いから入れてあげられないんだ」
「ふえ…」
「それにしても、何の曲消えちゃったのかな。サイケ君がいればわかるんだけど」
申し訳なさそうな表情をしている静雄に、学人は舌を出し、ぷいっと顔を背けた。
学人や津軽には音楽機能が備わっており、パソコンと繋げばデータをいれることができる。
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