幸せの上限 関口君の幸せを全力でぶち壊そうとする中禅寺さんまじ胸熱 「何だってもう一度言ってみたまえ関口君」 「だから、幸せだなあって。仕事は芳しくないけど、妻がいる。僕にはもったいないほどの良妻だ。榎さんや旦那、鳥口君や青木君もいる。僕は本当に良い友人に恵まれた。そして、君がいる。もうこれだけで充分だ。何も望みなんかない。僕は、とても幸せなんだ」 幸せなんだ、と自分に言い聞かせるように繰り返す。 「これ以上を望むのは強欲だ。罰が当たる」 しかしその呼吸が乱れているのを中禅寺は見逃さない。背中を撫でて落ち着かせながら 「そう、幸せなんだね。でも、ちょっとだけ、苦しい?」 関口は首を振るが、無理しているのは明白。 関口にしては健全な発言だからびくってなる中禅寺さん。もちろん関口君は無理してる。「今が幸せなんだからこれ以上望んではいけない」と思うことで自分の歪んだ願望に蓋をしようとするような。で幸せなはずなのに幸せと感じていない自分を異常判定して隠そうとするような。 [*前] | [次#] ← |