memo | ナノ
▽壊れて消えた


硝子人形と中禅寺



パキ、と音を立てて、腕の中で彼が砕けた。
「あ…せ、きぐち?」

関口、関口、関口、

狂ったようにその名を呼ぶ。
「どうして、壊れるなんて、こんな」

こんな。
こんな形で。
終わりを迎えてしまうなんて。

透き通るガラスの破片を抱き締める。
ほんの数秒前までは、ガラスなんかじゃなかったのに。

ガラスがさらさらと粒子に変わる。指の間から零れ落ちる。掌にはなにも残らない。
いやだいやだいやだ。
失えないのは、


H23.08.07.


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