2012/02/02 16:06 「軽い運動は健康に良いらしいぜ」 「軽い運動だって?」 なんでまた。云い出したのはどう見てもどう考えても運動とは縁の無い人間だ。 私は一瞬唖然としたが、彼のその意地の悪いと云うか何かしら企んでいるような笑みを見て、大体を悟った。 「…あれのどこが"軽い運動"だよ!?君は兎も角、僕はかなり疲れるんだぞ!」 「わかったよわかったからそう怒らないでくれ。確かに昨夜は年も考えず調子に乗ったさ」 私は昨夜彼に、足腰が立たなくなり声が嗄れるまで啼かされていたのだ。 「けどそれで僕ばかり責められても困る。昨夜は君にだって原因があるぜ、そうだろう?誰だって恋人にあんなことされて勃たない訳ないし行為中に殺し文句なんか云われたら溺れない訳にいかないだろう。 自業自得、とまでは云わないが君が充分に魅力的ってことは自覚して欲しいなぁ。特に僕に対しては、ね」 …こんな話でも饒舌なのか、この男は。 「もういいよ…禁欲的だったあの頃の君を返してくれ」 「何時の話だそれは。僕は出逢ってこの方、君に対してストイックだったことなど一瞬刹那さえも無いよ」 「…冗談だろう」 「本気だが」 「……」 嗚呼、君に対する素直な憧憬を返してくれ。 Fin. 阿呆くさい |