玉砕覚悟で好きですと伝えるとあろうことか俺もだと返された。まあ、彼も私を意識しているであろう感じはしていたし、だから告白したのだけれど。それでもものすごく仲が良かったわけでもなく、多く繋がりがあった訳でもない。私が彼の人となりに惚れて、たまたまメイメイの友達だったからたまに顔を合わせたら二言三言話すかどうかくらいであった。ウブで可愛い恋愛だと言えばそうではある。とはいえ現状はなんというか。例の告白から一ヶ月が経とうとしているが、音沙汰なし。今まで連絡先も知らなかったのだから頻繁にやり取りする必要に駆られる訳ではないのだが、付き合っているのか疑問である。そもそも付き合うとかいう話をしたかどうか定かではない。
「あ、ダーシァン」
「…なまえ」
そんな状況で街中でばったり遭遇。修行ばかりの彼とはベイ林寺以外で見かけることはそう無いので動揺した。
「えー…と、」
「少し、話さないか?」
「あ、はい」
彼は格好良い。正直上手く話せた試しがない気がする。私は彼について木陰のベンチへ腰掛けた。多忙な彼に対して迷惑になったらいけないからと私から連絡を取ろうとしなかったから責めるようなことは言えないけれど、それでも男の人から連絡をくれるものではないのかな、なんて。
「好きだ」
「………っ」
不意打ちに彼が言うから余計に言葉が出なくなる。慌てふためく私を見つめたまま、続ける。
「俺のこと、好きなのか?」
こちらから告白したと言うのに何を聞くのか。私は詰まる喉をよそにこくこくと首を縦に降る。
「…何故メールをくれないんだ?」
まだ、私を見つめたまま。
「ダーシァンだって、くれない…」
私は目をそらす。あまりに真っ直ぐで耐えられるものではない。彼は考えるように一瞬身を引くと、ぽつりと、また話し出す。
「すまない、何を書けばいいのか…」
私が見た横顔は、本当に困った顔をしていた。なんてウブで、なんて可愛い人だろう。
「なんだって、嬉しいよ」
挨拶とかでも、なんでも。なんて我が儘みたいなことを呟けば、彼はふわりと笑う。やっぱり、直視できない。

はじめまして、恋愛

それからというもの、おはようからおやすみまで、いい天気だなとかたわいないことも来るようになった。マメだなあなんて思いながらメールを打ち返して、たまに思い出したように好きだと言われる。なんて愛されてるんだろう。

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