「女の子の言う可愛いってイマイチ信用できねえと思ってたんだけど…」
そう言って私をじろじろ眺める彼はチャウシン。言わずと知れた王虎衆の一人である。男を紹介するからと言われ承諾した記憶もないが何故か決定しセッティングされており、まあ相手を放置というのは如何なものかと乗り気ではないが一応待ち合わせへと来た、のだが。
「(どういうこと?!)」
「(え、いやあ…)」
どうもその友達は王虎衆と関わりのある子だとは分かっていたが、こういう形でそんな有名人と対面するとも思っておらず。そして今し方その子に「じゃああとは二人でどうぞ!」なんて吐いて帰られてしまった。
「可愛いじゃん」
チャウシンはテレビで見たことあるへらっとした笑い方をすると、私の頭を撫でる。誰かって言えばダーシァン派の私だけどこんなお近付きになることなんてもうまたとないチャンスではないかと思考をグルグル回す。(しかもちょっとドキドキしてしまった。)握手とかしてもらっておいて損はないんでは…?
「さっきから黙っちゃって、どうした?もしかして緊張しちゃってる?」
覗きこまれた顔の余りの至近距離に体が強張る。本当にほくろがある…睫毛長い…。
「あの…」
「んー?」
私はチャウシンに手を引かれて歩き出していた。
「…握手してください!」

彼はさも可笑しそうに顔を歪める。

「もう握っちゃってんだけど」
夢か現か、私は今、なんだかすごい人と手を繋いで街を歩いています。
「(このままチャウシン派に転向しようかしら)」

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