「なまえ!」
「やだ、離してよ!」
「実は嬉しいっしょ?」
「バッカじゃない?やめてって…!」
「やーだ」
用事も済み帰宅するべく繁華街を通り過ぎようとした私に後ろから抱き付いてきたチャウシン。頭を私の肩もとい首筋にうずめて、回された腕は前で指を組む。
「夜だから人通り少ないとはいえこんなとこで…」
付き合ってもいない男に抱きつかれるなんて、ましてチャウシンだ。噂になったら生きていける自信がない。腕を振り払おうともがく。
「だから危ないっつの」
家まで護衛、な?なんて、狙ってるんだろうけど耳元で囁かれて顔に熱が集中する。
「アンタなんか!…っ馬鹿じゃないの…!」
「とりあえず、先にご褒美いただきまーす」
振り返ると唇に柔らかい感触がして、しまった、と、思った。こんな奴、好きだなんて認めたくなかったのに!



キスのせいで否定していたものが完全に吹っ飛んで、このあと結局家に上がり込まれることになる訳であった。

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