トビオはスタジアムの所に立ち、こちらを振り返ってピストルを撃つポーズ。ズキューン。恐らく、間違いなく、こう言っているだろう。かっこつけてるようだがなんとも言えない。やれやれと思いながらも私はそんなアイツに惚れたわけで。さて、どうしたものか。私の手にはさっき渡されたいつも見ているキャンデー。勿論、舐めかけとかではなくて、新しいものだけど。どんな味なの?と聞いたらトビオがくれたものだ。試合が始まって辺りは声援に飲み込まれた。今気付いたけれど、相手はかの有名なお方じゃないか。確かにトビオは強いけど、自信過剰な所があるからなあ。私は飴を包むビニールを剥がした。負けて戻ってきたらなんて励まそう。トビオのこと馬鹿みたいって思うのに、多分、私は落ち込んだ彼を抱きしめたくなるんだろうな。口の中に爽やかに広がる甘い味。キスしたらこんな味なんだ、なんて考えてみた。そしたら余計に喉が焼けるみたいに甘ったるくなって、一度キャンデーを口から離す。結構圧していたけど、結局は負けそうになっていて頭を抱えるトビオ。可愛いと思う私は盲目的。

そして唇で、キャンデーを軽く触れた

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