ノックしてそっと戸を開けると、大道寺さんは出掛けていた。折角会いに来たのに、全く。ふと窓辺を見やると、緑の物体が目に入った。





「…貴女は何をやっているんですか?」
突然聞こえた声にビクッと体が震えた。この部屋の主のご帰還のようです。
「いやあ、…私?」
へへ、と、にっこり返してみた。
「他に誰か見えるとでも?…ああ、貴女には見えるのかもしれませんねえ」
良かった、いつもの大道寺さんだ。怒ってないな、多分。侵入は日常茶飯事になってしまったので、もう諦めてくれている様子。
「で?何か悪戯ですか?モノによっては怒りますよ」
ふふふ、と、詰め寄る大道寺さん。
「何もしてませんよ!」
「どうでしょうねえ」
「今日はホントに!」
迫り来る大道寺さんに圧倒され、窓の桟に手をついた。

カシャン

「「………」」
下方を向き青ざめた大道寺さん。私はこの音の正体を察した。と同時にガッチリと両肩を掴まれた。
「…なまえさん、」
「は、ひ」
植木鉢の破片から、目の前の顔に視線を移した。
「これは、お仕置きが、必要ですねえ」
大道寺さんの額と私の肩から、なんだかピキピキっと音が聞こえた気がする。今日は悪戯してないのに!こんなことなら何かしとけば良かったなあ…。額の青筋を眺めながら、そんなことを思った。





後日きちんとサボテンを寄贈しました。ハート型の。





絶対飾ってくれると確信しています。

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