「翼?」
「なんだ」
「私は、どうすれば?」
「そのままでいい」
はあ。困ってしまった。抱き締められたままで幸せなのは幸せなのだが、手持ち無沙汰で困った。カチ、カチ、と、秒針の振れる音が部屋を支配する。かれこれ一時間以上だろうか。私は掛けられた時計を見上げた。あと5秒。と、翼が体を持ち上げた(カチ、)かと思うとコツリと額を当てて、(カチ、)視線を交える。(カチ、)そしてふと唇が弧を描く。(カチ、)
「なまえ。誕生日、おめでとう」
「ありがと」
言うや否や、私のポケットで携帯が震える。手を伸ばそうとしたら翼の手に阻止されて、ムッとした表情とキス。可愛いな、もう。



これを幸せと呼ぶの

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