「あのさ、なまえ」
「なになに?」
「俺の真似して楽しい?」
うん、と彼女がにっこり笑う。宿題を片付けようと俺の部屋で所謂お家デートの最中だ。お互い勉強は苦手な方ではないので多少質問し合うところもあったけれど黙々と進めて一足先に終わったなまえは、何度か「三和くーん」と呼びかけてきていたが、暇を持て余したのか俺の動きを真似てきた。向かい合う小さい丸いテーブルで、時々俺が目配せすると可笑しそうに笑うのがすごく可愛い。よし、と小さく呟いてシャーペンを置くと前のなまえも持っていたペンを置く。
「終わった!」
「終わった!」
楽しそうな彼女に近付くようにずいっと横にずれると彼女もテーブルを回るように同じ方向に動く。ずれる、回る。
「このやろっ」
「ひゃっ!」
埒があかない行為に痺れを切らした俺は彼女に飛びかかる。勢いづいて蹴飛ばしカランとペンが落ちる音。押し倒す形なって、なまえは押し黙る。
「好きだよ」
「…っ」
真顔で言うと視線を反らせずにフッと頬を赤くする。
「真似してみせてよ?」
ニッと笑ってみせるとムッと頬を膨らませる。
「俺のこと好きじゃない?」
可愛くて苛めたくなる。こればっかりは仕方ない。なまえが悪い。なんて自分の中で思考して。
「…好きだよ」
ポツリと吐き出した彼女がフイと顔を背けるより先に、俺がキスをした。

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