井崎くんと話すと大体途中から森川の話になる。井崎くんと仲がいいし、騒がしい奴だから話題にしやすいんだろうと思っていたら。
「お前森川のこと好きなんじゃないの?」
なんて言うから思わずで「ハァ?」なんてすっとんきょうな声で発してしまった。いけない、可愛くない。コホン、気を取り直す。
「どう考えたら私が森川のこと好きになるのよ」
「森川いない時を狙って俺に話しかけてるから、情報収集かと思ったんだよ」
井崎くんキミが好きなんだよと心の中で反論する。以前森川に彼について質問したことがあったがまるで駄目。すぐにカードの話題に切り替えてくるから話になったものじゃない。諦めて直接アタックをしかけてるというのにこっちもこっちである。溜め息が出た。
「なんだ、違うのかよ」
「当たり前」
ふーん、井崎くんはなんとも取れない返事をして、
「他に好きな奴がいるのか?」
聞くなよ!というのは勿論心に留める。この質問だけはされたくないもので。
「井崎くんは?」
「俺か?…そうだな、」
掃除時間の終わりを告げるチャイムが鳴る。ゴミ捨て当番の彼についてきて、現在倉庫前。あとはゴミ袋を放って教室に帰るだけである。ドタドタと足音がして振り返る。
「井崎!…とみょうじか」
大きな声で箒を担いだ森川が走ってきた。
「二人で何やって…おお!告白でもしたかあ!」
だっはっはとそのまま廊下を走り抜けた。ふざけんな森川一発殴る!ぶわっと赤くなった私は軽快な森川の背中を睨み付ける。井崎くんが隣で、あいつにしては鋭いな、なんて考えているとは思ってもみない話だ。

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -