「おお、いいじゃねえか!」
馬鹿でかい声が聞こえてまたかと唸る。声の主は私の彼氏だ。一応。私は鞄に教科書を適当に突っ込んで校門まで走った。
「ほら!俺様に…」
「森川!」
「なっ…なんでお前が、」
「いいから帰るの!」
慌てた彼が謎の動きをしているが私は残された面々に軽く会釈し気にせず腕を掴んで引っ張る。私の力で男子を動かすのは勿論無理な訳で、彼はバツが悪そうな顔だが従って歩いている。
「なあ、なまえ」
手も離して暫く進んだ頃、彼が話し出す。
「何」
「…怒んなよ」
「カツアゲ紛いはやめなさいって言ったよね」
「そ、そうだったか?」
「森川?」
凄味をきかせて言えば、隣を歩く肩がシュンと小さくなる。可愛いだなんて何があっても言わない。項垂れた彼の手に触れる。途端にビクッと反応して両手を上げた。真っ赤になってる。私はクスクス笑いながら駆け出す。
「な、なんなんだよ!」
後ろから追いかける彼は、毎日クラスの違う私を校門で待ってる。言わないけれどそう。気付かないフリをして通り過ぎることもあるけれど、いつだって追いかけてくる。愛しくて私は走る。

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