「一緒に行っていい?」
「ああ」
だって目を離せばどこか、知らない誰かのところへ行ってしまいそうだから。束縛したくて堪らない。翼の彼女「だった」なんて駄目。大好きで大好きで手にしたのに彼は飛んでいってしまいそう。服の裾を掴んで、彼の目的地を知らない私は小さく着いて行く。真っ直ぐに前へ行く翼は私をちらとも見ない。どんな気持ちでこうやって一緒にいると思っているんだろう。そりゃあ、恋人という立場にあることは相互の認識にあるけれど。
「翼」
「…どうかしたのか」
完全にこちらを向くではなく流す目。どうしてこんなに魅了するんだろう。何人の子が貴方を見てると思うの。想いじゃ負ける気はしないけど。どうしたっていつだって頭から離れない程なのに、貴方は離れていこうとしているって感じるから。
「キスして」
「…変なやつだな」
呆れたように笑うも腰をかがめてくれる翼は優しい。このまま抱き締めてどこかへ閉じ込められたら。目を開けたら堪えた涙がこぼれそうで怖い。離れた首に腕をかけて、私からも口付ける。息が苦しくなった。



ここでキスしてfor大見さん

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