「何、その格好…」
「誰だか分かるか?」
「ダーシァン」
「何…っ!?」
まるでバレないとでも思っていたみたいだ。黒い長いマントを纏ったその人はフードを取り、その横の一回り小さな黒もそれに倣う。チーユンは心なしか顔が赤く、震えている。
「だから言ったであろう」
「そうか…気付かれてしまうか…」
真面目にやっていてどこか天然なところが憎めない。私はクスクスと笑った。チャウシンからメールが来て数十分、なにやら待ち構えるようにダーシァンとチーユンは立ち、メイメイは楽しそうに座ってお茶を飲みながら足を振る。
「だが必死なチャウシンなら分からないだろう」
「チャウシンが必死になるわけないよ」
「それはどうであろうな」
今日初めてチーユンがリーダーに賛同した気がする。
「てかここに来るとも思えないし…」
「いや」
「来るであろう」
確信を持ったような二人に思わず苦笑した。昔にはあんなことがあったとはいえ、多分今の彼にとって私はからかいの対象でしかない。メールはなんとなく居場所が気になったからくらいで、用がなければ駆けつけてくるような男じゃない。だから付き合っても彼女とうまくいかないんだよ、なんて、お節介か。来てくれたら、嬉しいけど。
「…来なければチーユンは怒る」
そっぽを向いて呟いたチーユンが可愛くて、つい頭を撫でたら振り払われた。背を向けたチーユンの耳は何故だか真っ赤だった。
「…なまえ、」
「ん?」
ダーシァンは私に声をかけた。門の方へ行こうと言うのだ。

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