しとしとと雨が降り出した。
「なんか楽しみにここに来たのに、訳分かんなくて脱力したあ」
「まあまあ、明るくいくね!」
メイメイがお茶を運んで向かいの席に着く。結局ダーシァンも曖昧に誤魔化して、メイメイのいるこの部屋へ通された。ダーシァンは用があると言って出て行き、暫くして細かい雨が降り始め、霧のように外は霞んで見える。
「メイメイも理由知ってるんでしょ?」
「そうね、でもまだ秘密ね!」
「ええ…気になる」
「あとのお楽しみね」
「うう…」
鼻につくジャスミンの香りに誘われて口を付ける。温かくてほっとする。ぼーっと外を眺めようかと目をやったところで、ダーシァンがこちらへ向かってくるのが見えた。
「あれ、ダーシァン?」
「本当ね!?メールが来たかな!」
私が呟くとメイメイは勢いよく立ち上がり戸を開く。そこへダーシァンは入ってきた。
「色々した甲斐があったというものだ」
抱えていたパソコンを机に置くと、新着メールの文字。私とメイメイが覗き込む中、ダーシァンはそれを開く。
「お」
ドキン、心臓が跳ねた。表示された送信者の欄にチャウシンとある。
「"なまえはそこに居るか"と」
「ちゃんとここのアドレス覚えてたね」
「良かったな、消されていなくて」
「どうやって返事するね?」
「"そういえばこちらに来ると言っていたが見てないな"…と」
「え、ちょっとちょっと!私居るんだけど!」
「送信」
「え、え!?」
二人は私のことなどお構いなしにチャウシンにメールを返した。嘘は良くないと思う。そういえばどうしてチャウシンはそんなメールを送ったのだろう。出掛けるって言ったんだし、こんな風に捜されるのは初めて…では、無かったのを思い出した。

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