「ん…」
目が覚めると見覚えのある天井。そとからは掛け声が聞こえて、やっぱり目指していた場所なんだと確認する。それにしても、なぜ後ろから捕まったのだろうか。しかも今現在特に拘束されるでもなく、丁寧に客間に寝かされていた。来るはずだった目的地に着くための労働が少し省けたのは良かったな、と呑気に思った。ベイ林寺にはよく来ているので、ともかくメイメイや他のメンバーを捜そうと、戸に手をかける。
「開かない…」
「すまないが出すことはできない」
カタカタと戸を揺らすが開かず、代わりに声が聞こえた。
「どうして?」
「それは…どうしてもなのだ」
声としゃべり方の雰囲気で大体誰かは察しがつく。
「なんでよーチーユン」
「だから…!…っ何故分かった?!」
「や、分かるよ」
数秒沈黙があって、戸が開かれた。チーユンは不本意そうな顔をしている。少し考え込むような様子を見せた。
「すまなかった、なまえ」
ぺこりと頭を下げられた。いまいち状況が把握出来ていない私はなんとも言えず、うん、とだけ答える。しかしその言葉とは逆にチーユンは「なんでチーユンが…」などと言っている。やはり不本意らしい。
「私が急に必要で担いで連れてきたとか?」
「いや、なんと言うか…」
口ごもってしまったチーユンは難しそうに眉間に皺を寄せた。私は外に出て鮮明に聞こえるようになった掛け声と共に僅かに他の声も聞いた。
「あっちにみんな居るの?」
チーユンは私を見上げて、
「仕方あるまい。付いてこい」
と言った。

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