「お前も冗談だと思ってんだろ?」
低くて、怖い声。昔とは違う私たちの体格差。私を見下ろすチャウシンが、知らない人のように思えた。
「それは…だって、」
「俺はいつものノリでも軽々しく好きなんて言わない」
「でも、今日キスしたんじゃ…」
「は?してねえよ」
「でも…」
「見た訳じゃねえんだろ、俺のこと信じらんねえの?」
「それは…」
信じろと言う方が無理ではないのか。もちろん直接チャウシンが女の子にキスしたり愛を囁いたりしているところを見たことはない。それでも今日今までの素行は目の当たりにしているのだ。何度となくチャウシンの手を握る女の子に嫉妬もした。
「女の子と仲良くしてるから?お前だってそうだろ、他の男と付き合って、行くところまで行ってんだろ?」
冷たい雨が感覚を麻痺させる。思い切り振った手は痛みを忘れる。パンッと弾けるような音を立てて、すぐに雨に消えた。
「…チャウシンだって」
チャウシンだって同じだ。何が信じてないだ。睨みつけて視界が滲む。チャウシンの表情が少しだけ変わった気がした。
「おま…泣いて、」
「雨に決まってるでしょ」
目の端でチャウシンの手が動いて、また戻る。お互い無言が続く。泣くもんか。私は両手で顔を覆った。

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