「(チーユン!)」
思わず叫びそうになるのを喉に押し込める。見回せば、強張った顔のダーシァンと、真っ赤なチーユン、顔をわくわくしたように輝かせたメイメイ、間抜けに口を開けたチャウシン。ここで呑気にただの幼なじみと言われてしまったらと私は怖くなる。朝にそうとは言われているが、この状況でと考えると、酷く頭痛がした。
「どう、って…」
助けを求めるようにこちらを向くチャウシン。そんな目で見られても私はなんとも言いようがないんですが。
「あー…好きだけど?」
「「「「…」」」」
今、なんと言った?チャウシンはふっと表情を消してそこからは感情が掬えない。メイメイはきらきらしながら口をぱくぱくしているが、他二人は違うようで。
「また、軽口か?」
「はあ?」
物凄く険悪な雰囲気を作った。雲が地に陰を作る。
「それは本気で言っているのかと聞いている」
「他になにがあんだよ」
「チャウシンだ、チーユンは嘘だと思った」
プツン。聞こえるはずもないのに、確実に糸の切れる音がした。
「言っとくけど、俺女の子に好きとか言ったことねえから」
チャウシンは低く睨むように言うと、今度こそベイ林寺の門を出て行った。こんな彼を、私は知らなかった。山の天気は変わりやすいもので、轟々と風が吹いたと思うと、雨がまた降り出す。立ち尽くして動けない。

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