「なんでだよ。つーかお前、なまえいないっつったよなあ…」
恨めしそうに見るチャウシンに、溜め息をつくダーシァン。正体を明かさずに誘拐犯としてチャウシンを激情させて本気で戦おうなんて考えだったらしく。まあ、チャウシンがそれに乗るなんて私は全く考えられなかったけれど。
「チーユンと勝負しろ、チャウシン!」
「増えたしよ…」
「チーユン待つね!修羅場はこれからなのに…っ」
頭を抱えだしたチャウシンと、チャラい!気に食わないと叫ぶチーユン、なんだか楽しそうにチーユンに続いて出てきたメイメイ。私は笑い出す。チャウシンがこちらを向いて目が合い、反らされる。酷い、傷付いた。私はメイメイに駆け寄って「バラしちゃった」と告げる。仕方ないねと笑う。それからチーユンの腕を取って、まあまあと諭す。ふーふーと言いながらも少し落ち着いてくれた。
「まじ気に入らねー…勝負とか、笑わせんなっつーの」
チャウシンはその様子を見ていたかと思うと苛立ったようにそう切り出し、鼻で笑い、やれやれと手を上げて帰ろうとする。
「気に入らないのはチーユンの方だっ…!」
再び怒りに震えだしたチーユン。
「なまえをなんだと思っている!」
「…はい?」

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