「わあっ!」
「海だーっ!」
「おっし、俺様が一番乗りだぜ!」
「俺が先だ!」
「ねえー僕も交ぜてよっ!」
みんなで海へ来た。世界中を旅するメンバーが、どこへも行けない私のためにと日本へ帰ってきて企画してくれたのだ。空は真っ青で白い雲は気持ちいいくらいくっきり。慣れない水着を着て、私も駆け出す。ぎゃあぎゃあと騒ぐこの状況がとても幸せだ。
「翼も来ないかー?」
「…俺はいい」
「そっか、分か…ってー!まーさーむーねー」
「よそ見してんのがいけないんだよ!だから俺に負けるんだぜ」
「んだと!?」
「僕も交ぜてってばー!」
ビーチボールで戦いが始まる。夏真っ盛り!

しばらくすると遊び疲れたのか各々バラけた。
バラバラと海から出るメンバー。
「みんなもう上がんのかよー」
「銀河は疲れてないの?」
「おう!」
銀河は笑顔で言う。私は吊られて笑う。
「じゃあもう少し」
みんなが上がっていく砂浜を眺める銀河の横顔に水を思いっ切りかけた。不意のことにおわっと声を上げて銀河がよろける。
「やったな!」
「きゃー」
バシャバシャと子供みたいに水をかけあう。そして
「ごほっ」
私の顔にかかり、勿論多少飲んでしまったわけで。
「だ、大丈夫か?!」
腰あたりまである海水を押しのけて銀河が寄ってくる。
「ごほっ…しょっぱ…」
「ごめんな」
銀河の手もびしょびしょなのに、その手で拭うように私の頬に触れる。口の中は塩辛いけど、その行為が気持ちいい。太陽は上で輝いてるのに、近くの銀河の顔がやたらと眩しかった。

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