「大丈夫ですか?」
「は、へ?頭が、ですか?」
「そうですね、そちらの方が問題でしたか」
準備室の前で、先生に会いたいけどどうしようそわそわなんて(今更とか言わないで!)していたら、後ろから声をかけられた。ドキドキして死にそうだった数十分を返せと言いたいけれど、そういう訳にもいかない。勝手に気まずくなっていただけとはいえ、はっきり告白してしまったと考えるとなんだか恥ずかしいのだ。どもりながら馬鹿みたいな返答をして、やっぱり馬鹿を見る目で見られて、はあ、と盛大に溜め息をつかれた。
「膝ですよ。転びましたよね?」
大道寺先生は鍵を開けて中に入る。言われて見れば私の膝には大きな絆創膏が貼ってあって、数日前の体育祭を思い出した。先生がドアを開けたまま待っていてくれているので中に入れてくれるのだろう。
「先生ジャージ恐ろしく似合いませんでしたね」
ガンッ。ドアに挟まれた。当たった右肩がジーンと震えた。
「ひど…っ!」
「ああ、すみませんもう中に入ったのかとね。そんなにのろまだとは思いませんで」
大分嫌な顔をしている。なんせ告白してから初めて話すのだ。私の照れ隠しなのに!準備室は静かだった。雨がザアザアと降るせいで外の部活は教室で筋トレだ。前に見たサボテンは見当たらない。
「先生?」
電気のスイッチの前に居るのにそれを押さないから、不思議に思い側に寄る。
「先生、暗いんですけど」
あの、と触れようとした手が振り返った大道寺先生に掴まれて引っ張られる。気付いたら顔がすぐに近づいて、吃驚して半開きの私の唇に先生のそれが触れた。咄嗟のことに私は先生を押し返す。え、今の、何。顔に熱が集中するのが分かる。また、この部屋を飛び出した。甘いオレンジの味がした。

どういうことですか、先生。

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -