「先生、この英語みたいなのって何?ア、ン………?」
返されて直ぐには気付かなかったけど、私のノートの片隅に先生の字が走っていた。私が先生への愛を落書きしている横に。私はノートを突き出すも先生は見向きもせずに書類を整理している。
「ああ、馬鹿という意味です」
「…生徒にそういうこと言っていいんですか?」
白い目で先生を見た。こんなやりとりも夏休みは一回も出来ないのかと思うと悲しくなった。1ヶ月以上は長い。
「休み中、遊びに来ていいですか?」
「受験生でしょう?勉強しなければいけませんね」
「あ、勉強!…教えてください」
「全く…それならば、お盆以外は居ますので」
そう言う先生はいつもと違う柔らかい笑顔で、顔が熱くなった。



「危な…!」
「ぐぶっ」
下駄箱を出ると何かが飛んできた。案の定それは私の顔面にクリーンヒットした。痛い。顔を押さえてしゃがみ込んだ。
「わり…なんだ、なまえか」
「キョウヤくん…てかなんだとはなんだ」
サッカーボールを校庭にいる他の選手に蹴り渡し、私の腕を掴んで立ち上がらせた。
「だっせえ」
「な…」
失礼な奴だ。そして笑うキョウヤくんはムカつくことに格好良いのがよく分かる。ほら、下校する女子生徒たちはそわそわしながらこちらを見る。しかし今の私はなんせ気分がいいためそんなことはお構いなし。スカートの裾に付いた砂を払う。
「じゃね、部活頑張って」
にこにこ(にやにやかもしれないが)しながらそう告げて帰路につく。「おう」と言ったキョウヤくんの声が若干震えた気がした。
毎日学校来ようと思う。先生に会えて勉強もできて一石二鳥!

待っててください、先生。

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