考え込む顔、不機嫌な表情、呆けた様子、さまざまな角度から写すニアの姿。 「データはすべて削除してくださいね」 「ちぇーっ。わかってるよ」 わたしは今撮ったばかりの写真たちを消去していった。さっきまでのニアの存在の跡が消されていく。 毎日見ているニアの変化を写し取りたいという欲望を、ちょっとずつ刈り取っていく。丁寧に。手入れするみたいに。 わたしはポジティブでいる。なぜならわたしはニアのそばにいることで得られる幸福を、心の底から信じているから。 「大丈夫。ニアのぜんぶ、どこに行こうと、わたしが見届けるからね」 わたしが自信たっぷりにそう言うと、ニアはちょっと考え込んでから、口を開いた。「幸せ者ですね、私は」 「わたしも同じことを思ってたよ」 「そうですか」と言って、ニアはわたしの手を取り、自分の胸に当てた。「今日も私たちは、生きている。生かされている」 愛しさが溢れて、わたしはニアを抱いた。今日もあしたも、その先もずっと、必ず君を愛するよ。 Pictures in the future 2016.10.6 back |