ひさしぶりに長時間会えたせいか、再び別れるのがつらくて、わたしはついアルコールを頼んでいた。

 ふたりきりの部屋だった。わたしはもう思いのままに行動したくてたまらなくなって、飲みかけのグラスをテーブルに置き、Lの背に腕を回した。

 「だから飲み過ぎるなと言ったんです」とLは言った。「どうなっても、知りませんよ」

 Lはわたしのあごをくいと持ち上げると、たちまちかぶりつくような変なキスをした。

 変だ変だと思っているうちに、腰が抜けてくるからLのキスは不思議だ。変なのに、気持ちいい。

 「どうにかなっちゃいそう」

 「もっと酔えばいいじゃないですか」とLは言って、わたしにカクテルを飲ませた。口移しで。

 「これ、甘さが足りませんね」Lは言って、そのへんにあった角砂糖をつまんでそのまま口に入れた。「このくらい甘いほうがいい。ユメにもあげます」

 Lはもう一かけ角砂糖をつまむと、わたしの唇を指でこじあけて舌の先に乗せた。たちまち溶けていく甘ったるさに、ますますめまいがするようだった。

 「酔いがさめる前に、ベッドに行きましょう」

 そう言ってLはわたしの身体を軽々と抱き上げた。きゃっと声をもらすと、Lはわたしの顔を見つめて口の端を上げて笑った。

 わたしはふと、こんな幸せなときが永遠に続けばいいと、願っていた。

 もちろん酔って気分良くいられるのはほんの少しのあいだだけだ。そのあいだに、愛の永遠を誓ったところで、何になろう。

 それでも人は叶わぬ願いを願わずにいられないもので、わたしはLに、今夜はずっと離さないでね、と言った。

 Lのまなざしに一瞬暗いものがかげったが、それはすぐに消えた。酔っているわたしに何を言い聞かせてもしょうがないと思ったのかもしれない。Lは難しい言葉ではなく、簡潔な伝え方を選んだ。ようするに、この上なく甘くて優しい優しいキスと愛撫とをくれた。

 わたしは目を閉じて、その一瞬一瞬のなかに永遠と呼ぶべきものが宿るのを感じていた。

 どこまでも、ふたりはつながっている。そう思えたことを、わたしのなによりの財産にしようと、わたしは心の中で誓った。


永遠と呼ぶべきもの
2016.9.19






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