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「好きだよ」と言えば、「ありがとう」と返す。
「愛してる」って言えば、「あはは」と笑ってスルーされる。
「私には勿体ないくらい、ユウキ君は素敵な人だね」と言えば、「俺はそんなに偉い人間じゃねぇよ」と言われる。

どうして、何で謙遜なんかするの。あなたほどの人、この世界に何処にもいない。
ユウキ君みたいにカッコよくて、バトルも強くて、生意気だけど優しくて…誰からも人気なのに。
なのにどうして、謙遜なかするの。

ユウキ君を好きになって数年、抑えきれない想いが私の中にあった。どうしても、伝えたい。その想いの行く末が分からなくても、私はあなたに伝えたい。好きって。伝えたい。

でもそれは自己満足だったのかもしれない。好きって言いたい。私が、言いたい。それで納得できるのから。
もし振られたって、友だちに告白したと言えば、すごいねって言ってもらえる。結局、自分のことしか考えてない人間が、自分を満足させるためだけに、伝えたい想いなんて、最初から――

なのに。

「好きだよ」と言えば、「俺も名前が好きだよ」と返してくれた。
「冗談じゃないよ」と言えば、「冗談で言わない」と言ってくれた。
「本当?」と聞けば、「本当」と頷いてくれた。

こんな幸せないって、心の底から思えた。同時に、自分の愚かさに気付いた。今なら言える。ユウキ君が好き。
大好きなの。でも、抑えきれない想いは、止められない想いに変わっていて、自分でも分からない。

あなたの、全てが欲しい。


神様お願いします。私の願いを聞いてください。彼の前で、醜い私が現れませんように。
彼が好きだと言ってくれた、“私”で在れますように。全てが欲しいなんて、そんなことダメ。
私なんかが、ダメなの。

祈って祈って、どのくらい祈ったか忘れるくらい、祈った。けど、想いは増すばかりで。試しに、「私、ユウキ君のこと愛してるよ」と言ってみた。

どんな反応をするのか、見てみたかった。普通では言わないような言葉で想いを伝え、一体彼はどんな反応を示すのか。ユウキ君は、あははと少し笑った。「そんな重い愛いらねぇよ」とだけ、そっと私に残した。

願って、祈ったけど、ダメだった。私の“好き”は、ユウキ君にとって、重かったみたい。きっと、要らない。もう、要らないね。私もきっと、要らないよ。

でももし、あなたがもう一度思い返してくれるなら、一言だけ残します。明日の午後、一緒に堕ちましょう。それだけに希望を預け、私は一足先に、あの場所へ…それにしか希望を預けられないなんて、本当に醜い私を、あなたはもう一度好きと言うのでしょうか?
今度こそ、堕ちましょう。


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