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名前は世間知らずだよね。甘いことばっかり言ってちゃ、この世は渡っていけないんだよ。だから、もっとこの世のこと、理解しようね。

………
そんなこと言われたって、分かんない。どうしていけないの?甘い?私の言ってることが?みんな思ってることなのに?


「みんながニコニコしていられる世界に生きたい、って思うことは変なことなの?」
「さぁ」
「私真面目に悩んでるんだけど」
「うん」
「ねぇユウキ。人と会話するときは、相手の目を見ようよ。雑誌を見るんじゃなくて」
「お前に説教されたくないわ」


世間知らずの奴に説教されるなんて、心外だなんて、そんなの仕方ないじゃん。それに、嘘は言ってないし。それより、質問に答えて欲しい。どうして、私が間違ってるの?


「っていうか、お前が頑固なんだよ」
「は、私頑固じゃないし!」
「だから、そういうところ。『頑固じゃない』って言うところが頑固なの」
「そうなの?」
「さぁ」
「無責任だね君…」


要するに、間違ってると言われて、間違ってることを認めないから、頑固だって言うんでしょ?だって、間違ってるなんて思ってない。傷つきたくないって思うのは普通でしょ?笑っていたって思うのも、普通でしょ?


「お前、純粋すぎて怖いわ」
「え?」
「誰もが傷つかない世界なんて、ある訳ないだろ」
「何で?」
「そういうモンだって」
「みんなそう思ってるじゃないの?!」
「だから、みんなそう思ってるんだって」


は?今言ったのはどういうこと?頭が混乱してきた。そう思ってるんじゃないの?って聞いて、そう思ってるんだってと返さないで欲しい。全然分かんない。


「だから、みんな思ってる。『傷つかない世界』なんてないってこと」
「…酷いね」
「誰が」
「ユウキが」
「…親切に教えてやったのにこの鳥頭が」
「だからそういうところ」


みんながニコニコしていられるような世界はなくても、みんなは願っているのかな?そういう世界に生きたいって思ってるのかな?私の問いかけは無視され、独り言のように消えていった。

その数分後、小さな声で『そうかもな』って聞こえたのはきっと気のせいだ。


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