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風邪を引いた。それも、とんでもなくバカな理由で。夏っていうのは暑くて、エアコンをつける。まぁエアコンをつけなければ、最悪の場合、逆に熱中症で死んでしまう。だから電気代がどうとか言ってられない。
命ととお金。どっちが大事か。もちろん即答で“命”と答えて欲しい。だけど逆にエアコンのせいで風邪を引いてはいけないと思う。


「お前、バカだろ」
「…」
「何とか言えば?」
「お、仰るとおりです…」
「認めたかバカ」
「…」


何も言い返せない。だってユウキが言ってることは正しい。油断して布団も被らず寝たのがダメだった。熱は39.4度と少し高めで、頭はクラクラするし、咳は出るし、鼻水はダラだし…こんなときに両親は仲良くデートってどういうこと?
まったく40歳過ぎたカップルが仲良くデートなんて…それはそれでロマンチックだとうけど…。


「それで来てくれたのがユウキだっていうのも、どうかと思う」
「感謝しろって」
「だって何もしてくれないじゃん」
「何かして欲しいの?」
「リンゴ食べたい皮むいて」
「自分でやれ」
「ほら酷い」


ただユウキは私の部屋で雑誌を読んでるだけ。えぇい、何ならハルカちゃん呼べハルカちゃん!ちょっとは喋ってくれるはず。だってこんなのつまんない。大人しくベットで寝てるだけ何て。沈黙だけなんて、寂しすぎるよ…。


「ねぇユウキ、何か喋ろうよ」
「寝ろよ」
「えー」
「えー、じゃない。寝てないと治らないぞ」
「何かご褒美くれる?」
「…」
「分かった私が悪かったって!寝るから睨まないでお願い!」


機嫌でも悪いのかな?冗談で言ったのに、すごい睨まれちゃった。とりあえず寝ないと治らないのは本当のことだから、言うとおりにしておこう。今以上に怒られても困るし。


「じゃあ2時間後に起こしてね」
「おー30分後に起こすわ」
「寝ないと治らないって言ったの、ユウキだからね?!」


こいつ本当は私を寝かすつもり無いな。布団の中に潜り込み、目をつぶって、何も考えないようにしたら寝られるのかな。だけどそれは暑いだけで、寝られる気配なんて、何処にもなかった。


「ユウキどうしよう。寝れない」
「…俺にどうしろと?」
「読み聞かせみたいなのしてよ」
「お前はガキか」
「だって寝られないんだもん」
「じゃあお呪いでもかけてやろうか」
「へ?」


ユウキの口から、“おまじない”なんて…開いた口が閉まらない。一方ユウキは呆気にとられている私に近づき、そっと、唇にキスを落とした。
何がおこったのか分からない。ユウキの口から変な言葉が出たことにも驚きなのに、今の行動にどうリアクションすればいいというのだ…!


「…間抜けな顔だな名前」
「!だってユウキ、今…」
「早く寝ろよ」
「寝れるか今ので!」
「俺は寝られる」
「君と私の感覚を一緒にしないで!」


恥ずかしくて布団に潜ったけど、体が熱くて無理だもっと寝られない。横目でちらりとユウキを見てみれば、ふっと笑って、一言。

「好きだよ」


こいつ絶対私を寝かせる気ないって!


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