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永遠とか知らないし、ないと思うけど…僕、名前とずっと一緒なら、信じてみようと思えるんだ。
“永遠”なんて、そんなの、私は信じないのに、彼は、旅立つ前、私にそう告げた。
その結果が、コレか。


「行方不明…?何、言ってるのグリーン」
「そのまんまだよ」
「な、何で…!何でレッドが?!」
「俺が知るわけねぇだろ!!」


そのとき、確かにグリーンは悲しみを表情に浮かべ、涙を流した。ライバルだとか、あいつは気にくわないとか、チャンピオンの座を直ぐに奪われたとか、そんなこと言ったって、2人は親友。と私は信じてる。どんなに仲が悪く立って、互いをライバルだって、決めたんだったら、そこから生まれた何かがあるはず。悲しんだりするのが普通なのかもしれない。

じゃあ、私は…?


涙も流すし、悲しみの表情を浮かべ、何か分からない感情がどんどん溢れる。
『永遠とか知らないし、ないと思うけど…僕、名前とずっと一緒なら、信じてみようと思えるんだ』って。彼は確かに言った。私だって、その一言があったから、信じてみようって思えたの。ううん、信じてた。ただ幼馴染みに対して向けた言葉でも、私は嬉しかった。とっても。なのに、行方不明?永遠なんて、何処にもないじゃないかッ!





どうして、レッドなんだろう。どうして、私じゃないの。レッドは、世界に必要じゃない。あれだけの力を持っているんだから、これからどれだけの歴史を変えていくのかもしれない。だから、いるべきなの。それなのに、行方不明。
泣いた。自分の部屋で。ベッドで。
埋まって、こぼれた涙は全部、シーツに解け、消えていく。シミだけが、残る。痕だけが、残って私を、追いつめる。
その冬、マサラタウンで初めて雪が降った。初雪。いつもなら喜ぶ。レッドも、何処かの町でこの雪を見てるのかな、って。だけど、涙だけが頬を伝っただけだった。喜べない。悲しい。

神様だって恨んでやりたいくらいなのに、だけど雪だけは、ちょっとだけ私の心を明るくしてくれた。ちょっとだけ、元気が出た。窓を開け、降りしきる雪を見るめる。だけどもっと見てはいけないものを見つけた気がした。赤い帽子。見覚えのある。レッド?


「レッド!!」


いても立ってもいられなくて、窓から叫び、急いで階段を下りていく。帰ってきた。レッドが。マサラタウンに、自分の町に。私たちの町に。玄関を出たすぐのところに、レッドは立っていた。少し悲しそうな、でもいつもどおり。


「レッド!良かった、本当に、よかったぁ。心配したんだよ、行方不明とか言――」


私の言葉を遮って、レッドはそっと、でも力強く、私を抱きしめた。どうしたのレッド。いつもなら、こんなことしない。それに、とっても冷たい。


「どうしたの、レッド?」
「………」
「ちゃんと言ってよレッド。何があったの。今まで何してたの?」


問いかけても、レッドは答えてくれたない。ただ抱きしめる力が増すばかり。分からない。どうしたの。ねぇお願いだから、顔を見せてよ。レッドの顔が、見たい。思ったことが通じたのか、彼の体はそっと私から離れ、やっとのことで顔を見ることがきた。とても、優しくて、切ない、顔をしていた。そして小さくそっと、呟いた。


ご め ん ね
あ り が と う


ふわり――。
小さな風とともに、その姿は宙に浮かび、消えていく。離れていく。小さな粒子のよう光り輝いたそれは、雪のようにまたどこかへと消えていった。そっと、私の肩に舞い降りた雪を見つめ、払おうとすれば、解けていく。どうして、どうして触ろうとすれば、消えてしまうの。永遠もなければ、レッドもいない。だけど1つ理解できた。
私の願いなんて――永遠に、叶わない。




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