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時々、人っていうのは生きることに疲れを感じてしまうと思うの。だからうだうだ言ってるのも、仕方ないこと。私も今そういう時期だからさ。私がうだうだ言ってることにいちいち反応しなくていいんだよ。そんなに、怖い顔しないで欲しいんだけど。


「…だから、何だよ」
「私がいちいち言うことは別にトウヤ君に対して言ってることじゃないんだよ」
「あっそ」
「だから何で怒るのー」


正直、理解できない。どうしてそんなにも不機嫌なの。どうしてトウヤ君が、不機嫌なの?私の言うことに、何か間違いでもありますか?
だったらトウヤ君は、疲れを感じたことがないなんてあるんですか?


「うっぜぇ」
「誰が」
「名前が」
「酷い」
「酷くないね。当然の結果だよ」
「トウヤ君私のこと嫌いでしょ、絶対」
「そんなことはない」
「え゛」


その意外な言葉にどう反応していいか分からない。私にしてみればトウヤ君って何考えてるのか分からないし、そういうところが苦手なのかも。だけど、やっぱりよく分からない。苦手でも、私は彼のこと嫌いじゃないから。


「自分の中の壁、超えたら?」
「何それ。くさい」
「それでもって、そうやってうじうじしてるの終わらせろよ」
「………」


何、それ。私に一歩踏み出せってそんなことが言いたいの?正直、合ってないよトウヤ君に。そんなこと、言いそうにない。


「ほら、行こうぜ」
「何処に」
「何処でもいいだろそんなこと。とにかく、ほら手」


差し出された手を握れば、何か変わるのだろうか。自分を取り巻くこの現状を、変えていくことができるのだろうか。私、そんな強くないから分からない。だけど、反射的に取ってしまったその右手から伝わる温かさに、心が満たされていく。
私、君と一緒なら超えてみせるよ。終わらせてみせるよ。今だったら、頑張れるよ。頑張ろうって、思えるよ。



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