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「ねぇユウキ君。タイムマシンって、あると思う?」
「ないと思う」
「即答しないで」
「俺はないと思うから、そう言っただけ」
「ユウキ君はその性格だから、意地悪してるとしか思えないの」
「はっ」
「…もういいよ」


鼻で笑われるのはもう慣れている。だってユウキ君っていつもそんな感じだし、どうして私の質問に答えてくれないの。
……まぁ真面目に答えてくれると思った私がバカだったんだよね。……はぁ自分に呆れる。


「何ため息吐いてんだよ」
「何でもないです」
「タイムカプセルなんて、いきなりどうしたんだよ」
「過去に戻ってみたいなぁなんて思ったの」
「は?」


ほら絶対そういう風に、バカだろお前みたいな目で見てくると思ったんだ。だけどねユウキ君、過去に戻ったら、色んなことをやり直せるでしょう?
だから、タイムマシンに乗ってみたい。タイムマシンが、あるのか知りたいの。


「過去、ねぇ。別に俺は興味ねーな」
「自分が生まれたときのこととか、あ、ユウキ君が生まれたときとか見てみたい!」
「意味分かんねーよ」
「興味が出ちゃって。ユウキ君はタイムマシンがあったら何する」
「…未来に行きたい」
「へ、何で」


まさかここで答えるなんて。
手に持っている雑誌から目を離して、窓から見える空を仰ぐ。こんなことしてるユウキ君ってなんかシュールな気がする。
なんて言ったら絶対怒られるから言わないけど。


「未来に行ってさ、色々見てきたい」
「ふーん」
「俺と名前、これからどうなってるかっていうのは興味あるし」
「…ふーん」


自分でも思う。今私すっごくにやけてる。
だって、興味があるってことは少なくとも、私との未来を確かめたいって思ってくれるからでしょう?自分で言うと、すっごく恥ずかしい。
それに、ただの自惚れなのかもしれないけど、やっぱり嬉しい。


「ユウキ君、好きだよ」
「は?いきなり気持ち悪いな」
「言ってみたくなったの」


とりあえず、今はタイムマシンは要らない。
あったらそりゃ過去に戻ったり、未来を見てみてたり、そういうことをしたいって思うけど、今が幸せだから、当分いい。
独りで笑っている私をみて、ユウキ君は「変な奴」と言いながら、黙って側にいてくれる。
そういうところが、やっぱり好きだなぁって。


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