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「こ、骨折したぁ?!」
「うん。ごめーん」


けろりと笑って見せたら、バカ野郎笑うところじゃねぇ!ってグリーンに怒られた。怒られた。グリーンに。グリーンのくせに。
そりゃ、不注意だったのは私だ。階段で転んで、手の骨を折ったのは私だ。多分、全面的に悪いのは私だ。だけど、怒る前にちょっとは大丈夫か?って心配してくれてもいいんじゃないかな?
どうせグリーンにそんなこと言っても、「バーカ」って言われて終わるだけだと思うけど。


「でもやっぱり、大丈夫?って言われたいなぁ」
「あ?何か言ったか?」
「別にー」
「あっそ。じゃあ俺仕事あるから」


何が仕事あるから!だよ。サボってヤスタカさんとか困らせてるくせに!私の方がよっぽど仕事してるよ。
なんて、グリーンに文句言っても仕方ない。腕を骨折したことで私がしていた仕事は出来なくなってしまった。こちゃ最低でも1ヶ月は休まなくちゃ行けない。でも、そんなことしたらクビにされるかも。はぁ、考えただけでも気が滅入る。

とりあえず、今私に出来るとことをやろう。そう思ったのに。
腕を骨折してしまって出来ること、って少ないんだよなぁ。ぼーっとすることぐらいしか出来ないかもしれない。
これじゃあ1ヶ月ダラダラなことしりだけになっちゃう!

そんなとき――さっき仕事行ってくるとか言って部屋を出ていったグリーンが来た。
おいこの数分間で何してたんだよ。ジムは?私よりバカだろこいつ。


「ぐ、グリーン?どうしたの」
「お、名前まだいたのかここに」
「いちゃ悪いの?」
「いや丁度いい。これお前に、って思ってさ」


そう言ってグリーンが差し出した白い箱には、私の好きなモンブランが2個入っていた。何これ、私にくれるの?普段モンブラン食べたい、って言えば「ダメ」って即答してきたグリーンから?


「とりあえず見舞いの奴。お前好きだろ、モンブラン」
「どうしようグリーン」
「何だよ。もしかして、モンブランは食べたくなかった、とか?」
「そうじゃなくて、嬉しすぎてグリーンに抱きつきたい」


真剣に言ったら赤い顔で「な、何だよいきなり」って。混乱とかもしかしてしてるのかもしれない。あら、やっぱり直球過ぎたかしら。思ったこと、口にしただけなんだけど…。でも、直ぐにそれは無駄なことだと知った。だって今、私腕使えない。


「ごめんグリーン。私、抱きつけなかった」
「は?」
「腕、折れてたんだった」
「あっそ」


素っ気ない返事と共に、体を抱き寄せられ、今度は私が混乱状態へと陥る。グリーンが、私を、だ、きしめて、る…?
直ぐに頬が熱くなって、自分から離れようとしたけど、グリーンの力一杯のその強さに、叶わなかった。やっぱりグリーンって男の人だね。


「ぐ、グリーン」
「何?」
「どうしたの、いきなり」
「別に。お前が出来ないことは、俺がしてやろうと思って」
「!」


それって私が抱きつけなかったら、抱きしめてくれるってこと?
どうしよう私。すごく嬉しい。もう、モンブランどころの騒ぎじゃないんですけど。今ちょっとだけ、骨折しても良かったなんて思ってしまった自分がいる。
じゃあもし、私の腕が治っても、私に出来ないことはグリーンがしてくれるの?って試しに聞けば即答で「いやそれはない」と答えれたのはまた別の話。
グリーン曰く、「お前調子に乗ると何でも頼んでくるじゃん」だそうで、ちょっとショックだった。


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